第123回国会(常会)
質問第一三号
議員秘書給与の企業負担に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成四年五月十四日 上田 耕一郎
議員秘書給与の企業負担に関する質問主意書 リクルート、共和、佐川急便事件など、金権腐敗事件があいついでおり、いずれも現職閣僚、元閣僚がこれに深くかかわっていたことが明らかになっている。こうした金権腐敗事件の中で、政治家の秘書給与を企業に負担してもらう形をとった企業献金の存在が、あらためて浮きぼりになっている。閣僚の中にも、秘書給与を企業に負担してもらってきた閣僚がいるが、これは形を変えた明らかな政治献金である。にもかかわらず企業からの「研修」という名目にして、いまだに「寄附」として報告することを拒む態度をとっていることは重大である。
一、議員秘書給与の企業負担、あるいは企業からの秘書派遣は、政治資金規正法第四条の「財産上の利益の収受」であり、「寄附」と見なされるものと考えるがどうか。 二、企業から「研修」としての秘書派遣は、「寄附」に当たらないとする見解があるが、名目が「研修」であっても、実態が「無償の労務提供」なら、客観的には「寄附」と判断すべきと考えるがどうか。 三、二に関連して自治省はこれまで、「具体の事実に即して判断すべき」と国会答弁をしているが、その際、企業からの秘書派遣を研修と見なすか否かの基本的判断要件を明らかにされたい。 四、今国会の中でも、奥田運輸大臣の元私設秘書が、二年半にわたって北陸佐川急便株式会社から給与負担を受けていた事実が明らかになったが、同秘書の場合、北陸佐川急便から給与を得ていた二年半の間の前後は治山社社員となっており、北陸佐川の「研修」ではなかったことは明白である。
五、奥田運輸大臣以外にも、いまだに私設秘書給与を企業に負担してもらっている閣僚はいないか。まして、大臣が監督対象業界の企業からの秘書給与の負担を受ければ重大な疑惑を招くものである。政府として、全閣僚の私設秘書給与の企業負担の実態について過去にさかのぼって調査し、その結果を明らかにされたい。 六、金権腐敗政治根絶のうえで、企業・団体献金の禁止が決定的に重要である。そのためにも、さしあたり政府として、閣僚が、「研修」名目を含め秘書給与を企業に負担してもらうことを、ただちにやめるべきと考えるがどうか。 右質問する。 |