質問主意書

第122回国会(臨時会)

答弁書


第百二十二回国会答弁書第一三号

内閣参質一二二第一三号

  平成四年一月二十四日

内閣総理大臣 宮澤 喜一   


       参議院議長 長田 裕二 殿

参議院議員林紀子君提出広島市デルタ地帯の高潮対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員林紀子君提出広島市デルタ地帯の高潮対策に関する質問に対する答弁書

一の1について

 広島市の太田川、旧太田川、天満川及び元安川の建設大臣直轄管理区間における高潮対策(以下「高潮対策」という。)は、昭和五十四年度から全体延長二十八・三キロメートル、全体事業費約千百億円の計画で実施しているところである。
 高潮対策の事業着手から平成二年度までの年度ごとの進ちょく率の推移を事業費による進ちょく率でみると、昭和五十四年度約〇・三パーセント、昭和五十五年度約〇・五パーセント、昭和五十六年度約〇・六パーセント、昭和五十七年度から平成二年度までは毎年約〇・九パーセントから約一・六パーセントであり、平成二年度末における累計の進ちょく率は、約十二パーセントである。
 高潮対策の事業費は、昭和五十四年度三億四千六百万円、昭和五十五年度五億四千百万円、昭和五十六年度六億二千七百万円、昭和五十七年度以降平成二年度までは毎年約十億円から約十七億円で推移しており、平成二年度末までの累計の事業費は、約百二十九億円である。

一の2について

 高潮対策は、当面、計画高潮位までの高さの堤防を先行的に築造することとし、その後、波浪の影響を考慮した高さまで更に堤防を築造することとしていることから、現在までに当該高さまで堤防の築造が完了した箇所はない。

一の3について

 高潮対策の残事業費は平成二年度末で約千億円であること及び今後の財政事情の変動、河川改修事業全体の進ちょく状況、施工地区における関係権利者との調整など不確定な要素が多いことから、高潮対策の完了までには更に相当の年月を要するものと見込まれるが、今後とも治水事業全体の事業費の拡大に努力しつつ、計画的に高潮対策を進めることとしている。
 また、人員については、業務執行のより一層の簡素合理化等を図りつつ、要員の確保に努めてまいりたい。

二について

 平成三年の台風により堤防、護岸等が被災した太田川の広島市西区庚午中一丁目地先、同市西区庚午北四丁目地先及び同市西区横川新町地先、旧太田川の同市中区寺町地先、同市西区横川町一丁目地先及び同市中区基町地先、猿猴川の同市南区東雲三丁目地先、府中大川の安芸郡府中町茂陰二丁目地先、天満川の広島市西区中広町三丁目地先並びに広島港港湾隣接地域の同市南区出島二丁目地先、同市南区元宇品東地先、同市南区宇品海岸三丁目地先及び同市南区宇品海岸一丁目地先については、平成四年の出水期までに災害復旧工事を実施し、復旧する予定である。
 また、溢水した箇所については、引き続き計画的に改修工事を施工してまいりたい。

三の1について

 広島港における海岸保全施設に係る設計高潮位(計画潮位)は、さく望満潮位の台風期(七月から十月までの四箇月間)における平均値に、過去に広島港に最も大きな被害を与えたルース台風のコースを過去の主な台風のうちで潮位の偏差の最大値を記録した伊勢湾台風と同規模の台風が通過すると仮定した場合の潮位の偏差を加えた値としている。
 また、広島港における海岸保全施設の天端高(計画堤防高)は、設計高潮位に箇所ごとの波に対する必要高及び余裕高を加えた値としている。

三の2について

 運輸省及び建設省がそれぞれ所管している御質問の広島市デルタ地帯の高潮対策事業においては、設計高潮位については、同様の算定方法に基づき定めており、天端高については、算定方法は異なっているが、河川区域と海岸保全区域とが隣接する区域の整備済あるいは整備予定の堤防の高さはおおむね一致している。

三の3について

 広島港の宇品地区等においては、港湾計画を勘案しながら、適切な天端高を確保するため、逐次海岸保全施設の改修を行っている。

三の4について

 御質問の広島市デルタ地帯の海岸保全施設の整備計画延長と平成二年度末における整備済延長は、次のとおりである。

図 表