質問主意書

第122回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一号

「防衛計画の大綱」における「限定的かつ小規模な侵略」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年十二月十九日

翫 正敏   


       参議院議長 長田 裕二 殿


   「防衛計画の大綱」における「限定的かつ小規模な侵略」に関する質問主意書

 私が先に提出した「自衛のための必要最小限度の武力の規模に関する質問」に対する政府答弁書(九一年一一月二九日)において、「防衛計画の大綱」(以下「大綱」という。)における「限定的かつ小規模な侵略」について「具体的な地理的範囲については、一概には言えない」としている。
 以上の政府の主張によれば、大綱における「小規模な侵略」の「小規模」とは観念的なものであり、「大規模」と「小規模」とを区別する具体的な基準は存在しないことになる。
 しかしながら、侵攻する兵力の規模に基づいた作戦面積の大きさについては、他国においては既に研究が進んでいる。例えば米国陸軍教範『FM100-2-1THE SOVIET ARMY:Operationsand Tactics』によると、前線攻勢作戦(Front Offensive Operation)における諸兵連合軍(Combined Arms Army)の戦闘正面は最大一〇〇キロメートルで、一日の侵攻距離はおよそ三〇キロメートルである(同教範四-四頁)。
 八七年八月二七日衆議院内閣委員会における西廣防衛庁防衛局長答弁によると、小規模・限定的な侵略において日本に指向される兵力はおおよそ三個から四個師団であり、さらに空挺師団あるいは空中機動旅団が付け加えられたものが限定的・小規模な侵略の上限と想定している。
 前記西廣防衛局長答弁により「小規模な侵略」における兵力規模が明確にされているのであるから、『FM100-2-1』によるのと同様な地理的範囲の限定は可能であり、またそういった作業がなされていないならば、政府の怠慢と言わざるを得ない。よって「小規模な侵略」の地理的範囲を明らかにされたい。また「小規模な侵略」と大規模な侵略を区別する具体的基準について明らかにされたい。

  右質問する。