質問主意書

第121回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一六号

内閣参質一二一第一六号

  平成三年十月二十二日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 長田 裕二 殿

参議院議員上田耕一郎君提出廃棄物減量、リサイクル促進等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員上田耕一郎君提出廃棄物減量、リサイクル促進等に関する質問に対する答弁書

一について

 首都圏での廃棄物の発生量は、近年ほぼ一貫して増加傾向にあり、この傾向は今後とも続くと考えられることから、現状の廃棄物処理施設の能力では不十分であり、廃棄物の排出の抑制、再生等により減量化に努めるとともに、所要の廃棄物処理施設の整備が必要であると考えている。

二について

 今後速やかに第七次廃棄物処理施設整備五箇年計画を策定することとしているが、同計画においては、廃棄物の減量化の促進の観点も踏まえ、国民一人当たりのごみの排出量の伸び率を年一・五パーセントと想定し、平成七年度のごみ排出量が全国で約五千六百万トンとなると見込むこととしている。
 このためには、平成七年度において、ごみの増加が現状のまま推移した場合に比べて約四百万トンのごみの減量化が必要となる。

三について

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律(平成三年法律第九十五号)による改正後の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「改正廃棄物処理法」という。)において、市町村長は、事業活動に伴い多量の一般廃棄物を生ずる土地又は建物の占有者に対し、当該一般廃棄物の減量に関する計画の作成等を指示することができること、市町村が条例を定めて一般廃棄物の処理に対し手数料を徴収する場合には、事業活動に伴って生じた一般廃棄物についてもその処理に要する費用等を勘案して手数料を定めなければならないこと等の規定が新たに設けられたところであり、これらの規定を適切に運用することにより、オフィスから排出される紙ごみの抑制を図ることとしており、オフィスからの紙ごみを直ちに産業廃棄物とすることは考えていない。
 また、前記の改正廃棄物処理法の規定に基づき、多量の紙ごみを排出するオフィスの占有者に対して、紙ごみの削減計画の作成等適切な指示が行われるよう地方公共団体を指導してまいりたい。
 古紙の回収促進については、改正廃棄物処理法において、市町村の定める一般廃棄物処理計画に分別収集に関する事項を設けること、廃棄物再生事業者の都道府県知事登録制度を創設し、市町村が一般廃棄物の再生に関して登録廃棄物再生事業者に対して必要な協力を求めることができること等の規定が新たに設けられたところであり、この趣旨に従って、古紙の分別、再生が適切に図られるよう地方公共団体を指導してまいりたい。また、現在、オフィスにおける古紙回収マニュアルの作成、回収モデル事業の推進等の事業を行っており、着実にその成果が上がってきているところであるが、平成三年四月、資源の有効な利用の確保を図り、廃棄物の排出の抑制等に資するため、所要の措置を講ずることを目的として再生資源の利用の促進に関する法律(平成三年法律第四十八号)が制定されたところであり、この適正な運用を図ることにより、今後とも、一層、古紙の回収及び利用を促進していくこととしている。
 再生紙の利用促進については、従来から政府広報により、再生紙に対する国民の理解を深め、その使用について協力を求めるとともに、財団法人古紙再生促進センターの行う再生紙を使用した製品に関する普及事業及び広報事業に対する助成を行うことにより、再生紙の普及を図っているところである。
 また、省エネルギー・省資源対策推進会議等の申合せに基づき、再生紙の使用等を自ら推進し、併せて地方公共団体及び民間企業に対してもその普及に努めているところである。
 さらに、改正廃棄物処理法では、新たに国民の責務として、再生紙を含む再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図ることが規定されたところであり、国民に対し、その趣旨の徹底を図ってまいりたい。

四について

 政府としては、従来よりごみの減量化推進等の観点から、使い捨て容器について関連業界に所要の対応を要請するとともに、排出されたごみの再資源化の推進を行ってきたところである。
 再生資源の利用の促進に関する法律では、再生資源の利用の促進を事業者の責務とすると定められたところであり、改正廃棄物処理法では、事業者の責務として新たに廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならないことが規定されたところである。今後これらの規定に基づき、事業者に対する適切な指導を行ってまいりたい。
 そのほか、発泡スチロール製流通用トレイについては、平成二年十二月の産業構造審議会答申「今後の廃棄物処理・再資源化対策のあり方」を踏まえ、発泡スチロール製トレイ原反メーカー六社が平成三年四月に発泡スチレン・シート工業会を設立し、トレイ成形加工メーカーとともに、東京都、京都府等において、自治会等のボランティア団体、チェーンストアの協力を得て、回収及び再資源化のためのモデル事業を実施しているところである。
 また、流通関連業界に対しては、平成三年一月、トレイの使用の適正化を含む包装の適正化を図り、消費者、包装材メーカー及び商品メーカーと協力して回収及び再資源化を推進するよう要請を行ったところであり、これを受けてチェーンストア等関連業界において包装適正化についての自主基準の見直し並びに回収及び再資源化への対応を図っているところである。
 今後とも、これらの取組の成果を見守りつつ、必要に応じ、適切な措置を講ずるよう努めてまいりたい。

五について

 御質問のペット容器については、従来から、一リットル未満の清涼飲料容器の使用自粛など、できる限りその使用を控えるよう指導しているほか、ペット樹脂製造業者、ボトル成形加工業者、飲料製造業者等において、地方公共団体、生活協同組合等と協力しつつ回収、再資源化のモデル事業等を実施しているところであり、今後とも、分別回収を容易にするための材質表示の導入の検討など、その回収、再資源化に努めるよう指導してまいりたい。
 ガラス瓶については、平成三年一月、リターナブル瓶の使用拡大のため、調整可能な範囲内で統一規格瓶の採用を行うよう、関係業界に要請したところである。さらに、一・八リットル瓶(一升瓶)については、中央酒類審議会が平成三年二月八日に取りまとめた報告「酒類容器のリサイクルに関する中間報告」を踏まえ、酒類製造業者に対し、新瓶の投入は古瓶の需給状況等を勘案して行うなど回収再使用の推進に努めるよう指導しているところである。

六について

 包装、容器のうち、使い捨てのものについてはその使用自粛を関連業界に要請するとともに、再生が可能なものについては回収を推進し、その再生利用に努めてきたところである。
 改正廃棄物処理法においては、事業者の責務として廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならないこと及び厚生大臣は廃棄物の適正な処理を確保するため、物の製造等の業を所管する大臣に対して必要な措置を求めることができることが新たに規定されたところであり、市町村による分別収集の推進を図るための規定とあいまってこれらの規定を適切に運用することにより、簡易包装の推進及び分別収集の徹底等を図り、包装、容器の排出抑制とその再生の促進に一層努めてまいりたい。

七について

 御質問の回収業については、中小零細企業が大部分を占め、経営基盤も脆弱であり、後継者問題が深刻であることは承知している。
 このため、改正廃棄物処理法において、廃棄物の再生を行う事業者を育成する目的から、新たに都道府県知事による登録制度が設けられたところであり、登録を受けた優良な回収業者については市町村が集団回収等の一般廃棄物の再生に関する事業への協力を求めることが期待される。
 このほか、政府としては、現在、古紙こん包装置に係る特別償却又は税額控除、古紙回収施設に係る事業所税の軽減等の税制上の優遇措置を講じているところである。
 また、再生資源の利用の促進に関する法律等の適正な運用により、回収業にとって良好な事業環境を形成し、再生資源の利用を促進してまいりたい。