質問主意書

第121回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質一二一第二号

  平成三年九月三日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員翫正敏君提出国連憲章における個別的及び集団的自衛権と集団的安全保障に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員翫正敏君提出国連憲章における個別的及び集団的自衛権と集団的安全保障に関する質問に対する答弁書

一について

 国際連合憲章(以下「憲章」という。)第七章においては、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為が行われた場合に国際の平和及び安全を維持し又は回復するため国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)が採ることのできる一連の行動(いわゆる経済制裁措置を含む。)について定めており、これらの一連の行動を総称して講学上集団安全保障の措置と呼ぶことがある。また、憲章第七章は、第五十一条において、国際連合加盟国(以下「加盟国」という。)に対して武力攻撃が発生した場合の個別的又は集団的自衛の権利についても定めている。御質問の趣旨は必ずしも明らかではないが、仮に御質問が、憲章上安保理が前述のいわゆる集団安全保障の措置のいずれかを採った場合において、それ以後加盟国は憲章第五十一条の定める個別的又は集団的自衛の権利を行使し得なくなるか否かを問うものであれば、その点は、それぞれの場合の具体的状況によるものであり、憲章の解釈上必ず行使し得なくなるというものではないと考えている。

二について

 イラクのクウェイト侵攻については、我が国が自衛権を行使するような状況にあったわけではないので、憲章第五十一条にいう「必要な措置」が採られたのか否か等につき我が国として判断する立場にはない。