質問主意書

第121回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一八号

公団住宅へのパチンコ店出店計画に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年十月三日

上田 耕一郎   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   公団住宅へのパチンコ店出店計画に関する質問主意書

 東京都練馬区光が丘の住宅・都市整備公団団地では、住宅棟の一部にパチンコ店の出店計画があり、区議会や居住者・近隣住民から強い反対の声が出ている。同問題については、昨年十一月三十日の建設委員会で問題を指摘し、時の建設大臣も「十分指導する」と答弁した。その後公団が譲渡施設の使用目的を業務施設に変更することにより、いったんは中止されたが、公団から住宅棟の一部を譲渡された業者は、依然としてパチンコ店等遊戯施設として使用する意向を明らかにしており、不安が広がっている。
 パチンコ店を団地住宅棟に出店させることは、住環境に重大な影響を与えるものであり、今後同様の事例が拡大すれば各地で大きな問題になるおそれがある。施設の譲渡者、賃貸住宅の管理者、地域開発者としての公団の責任は大きい。
よって、以下質問する。

一、九月五日付けの同地域紙「光が丘新聞」に、譲渡を受けた業者・株式会社グランド東京と株式会社コスモジーテとの連名による意見広告「光が丘地区居住者の皆様へ『娯楽施設等の出店反対』に応えて」が掲載された。これは、「娯楽施設を擁する居住区が気にいらないと云うのであれば、その方々は入居を辞退され完全な郊外型ベットタウンへ転居されるべきである」とし、末尾では一部自治会役員の告発にまで触れている文書である。
 そこに記載されている次の点について、事実関係を明らかにされたい。

(1) 「『パチンコの出店は地元の同意が得られない場合は、向こう五年間見合わせてほしい』との要請を公団から頂いた」と記述されているが、公団はパチンコ店の出店を五年後に遅らせるよう要請したのか。
 また、当該業者からは、五年後以降にパチンコ店を出店する意向表明を受けた事実があるか。
(2) 「大通り中央一号棟の入居者にあっては、昨年春の入居時に公団より地下部分に娯楽施設ができる旨の説明を受け、了解の上、入居されている旨公団から伺っております」と記述されているが、公団は入居者に対し、娯楽施設が設置される旨の説明を入居時に行ったのか。
 また、そのような経緯を当該業者に説明したのか。

二、意見広告には、公団の態度を誤解させる記述が多数あるが、事柄が住民の関心の高い問題であり、かつ意見広告が光が丘団地の全世帯に配布されている状況からして、公団は関係地域住民に対して、事実関係を明らかにする広報を行うべきではないか。

三、公団は、当該施設の譲渡契約において、用途を業務施設に限定する条件を付したと聞いている。しかるに当該業者は、前述の意見広告において、譲渡契約から五年後以降は「娯楽施設であれなんであれ、業種について、何等の制約を受けるものではありません」と公言しており、業務施設を設置する意向は見受けられない。

(1) 公団は、当該施設の譲渡契約において、当該譲渡施設の使用目的及び当該施設を使用した事業の実施について、いかなる取決めをしているのか。
(2) 当該業者は、最近までカラオケハウスなどの娯楽施設を設置しようとしていたが、カラオケハウスなどの娯楽施設の設置は契約に反するのではないか。
(3) カラオケハウスの設置計画について、公団は当該業者から説明を受けたのか。またこの計画について、公団はどのような対応をしたのか。
(4) 当該業者は、いかなる業務施設をいつまでに設置する計画を持っているのか。
(5) 業務施設設置の計画を持たないまま放置することは、契約に反しないのか。
(6) 公団は、契約条件たる業務施設を早急に設置させるよう、当該業者に要求すべきではないか。
(7) 当該業者がなお契約条件たる業務施設を設置しようとしない場合には、公団は当該施設を買い戻すべきではないか。

四、公団は、譲渡者としては五年後以降の用途については制約できないとの姿勢を示している。

(1) 公団の練馬区議会への正式回答は、期間について何らの前提条件なしに「パチンコ店の出店中止、業務施設への用途変更」を約束したものとなっている。公団は練馬区議会に対する回答を誠実に守る責任があるのではないか。そのためにいかなる措置を講ずるのか。
(2) 公団は、当該住宅棟の賃貸住宅の管理者として、居住者の意向も踏まえて良好な居住環境を確保する責任があり、また当該住宅棟の区分所有者として、他の区分所有者に対し、共同の利益に反する行為の停止を請求する権利を有している。その立場から、住居の良好な環境を害し、当初の用途と異なるパチンコ店等の娯楽施設の設置は五年後以降といえども行わないよう当該業者に働きかけるべきではないか。

  右質問する。