質問主意書

第121回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七号

中期防衛力整備計画における五か年固定方式の採用の根拠に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年九月十二日

翫 正敏   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   中期防衛力整備計画における五か年固定方式の採用の根拠に関する質問主意書

 政府は、防衛計画の大綱の策定以来、基盤的防衛力構想に基づく防衛力整備を進め、一九八六~九〇年度中期防衛力整備計画(以下「中期防」と言う。)が決定するまで防衛力整備は「単年度方式」を採用してきた。その理由を政府は以下のように説明している。「第一は、前に述べたとおり、基盤的防衛力の観点に立って防衛力の現状を見ると、規模的には、すでに目標とするところとほぼ同水準にあると判断されるため、目標に至る過程を示す意義ないし必要性が乏しくなったことである。第二の理由は、防衛力が規模的に概成すれば、じ後の整備は防衛力の量的増強よりも、装備の更新近代化等質的な面における充実、向上を図ることが主体となるが、質的な充実、向上は、そのときどきにおける諸外国の技術的水準の動向等情況の変化に柔軟に対応しつつ実施すべきものであることである。更に第三に、転換期にあり流動的な要因の多いわが国経済財政事情からしても、従来のような『五か年固定方式』の整備計画を決定し、あらかじめ防衛費の大わくを決めることは適当でなく、年々の経済財政事情等を勘案しつつ、弾力的に対処しうる方が適当であると考えられることである。」(七七年度版『防衛白書』八一~八二頁)
 しかるに政府は八六~九〇年度中期防の決定において、合理的な説明もなく「五か年固定方式」を採用し、九一~九五年度中期防においてもこの方式を無批判に継続させている。そもそも一~四次防までにおいて防衛力整備に対象期間を定めたのは、「わが国の防衛力がなお建設途上にあるとの基本認識に立っていたため、防衛力整備の目標、すなわち、いわゆる所要防衛力を具体的に示すことよりも、そのような目標に向かっての建設過程における当面五か年間の整備内容を明確にし、これに向かって整備努力を結集しようとしたもの」であり、「防衛力の量的な増強過程にあっては、それなりに適切な方式であった」(前掲『防衛白書』八一頁)に過ぎない。
 言うまでもなく両中期防とも防衛計画の大綱に基づくものであり、前記防衛白書の説明に従うなら「単年度方式」を採用するのが当然といえる。よって政府の見解を明らかにするために以下質問する。

一 防衛力整備に当たって「単年度方式」を採用するという前掲『防衛白書』の三つの理由は、今日失われてしまったのか。もしそうであるなら、三つの理由それぞれの失われた理由について明らかにされたい。
二 八六~九〇年中期防においては三年後の計画の作成し直しが定められていたが、その理由及び「今後の防衛力整備について」(八七年一月二四日閣議決定)において作成し直しを取り止めた理由についてそれぞれ明らかにされたい。
三 「昭和六二年度予算における『当面の防衛力整備について』(昭和五一年一一月五日閣議決定)の取扱いについて」(八六年一二月三〇日閣議決定)においては、防衛費のGNP一%枠に替わる「新たな歯止めの基準は必要とするが、これについては、今後慎重に検討する」とあるが、いつ結論を出すのか明らかにされたい。

  右質問する。