質問主意書

第120回国会(常会)

答弁書


答弁書第三二号

内閣参質一二〇第三二号

  平成三年六月四日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員小川仁一君提出米軍機による岩手県宮古市での被害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小川仁一君提出米軍機による岩手県宮古市での被害に関する質問に対する答弁書

一について

 平成三年五月一日に発生した事故(以下「本件事故」という。)に係る被害件数及び被害推定総額は、宮古市所在の民家等の窓ガラス(百九十六枚)及び照明器具(四台)の破損並びに壁面タイル(一箇所)のはく離等百二十九件、約百九十万円である。

二について

 仙台防衛施設局は、本件事故発生後直ちに職員を現地に派遣し、被害者への見舞いと被害状況の調査を行うとともに、地元地方公共団体にも本件事故についての事情説明を行った。

三について

 政府は、本件事故発生後直ちに米側に対し、遺憾の意を伝えるとともに、事故の原因究明、再発防止及び米軍機の飛行に際しての安全確保につき申入れを行い、米側はこれを了承した。

四及び五について

 御指摘の被害が予想される地域とはどの地域を指すのか必ずしも明らかではないが、米軍は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)第六条の規定に基づき、日本の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、我が国において施設・区域を使用することを許されており、米軍がかかる目的で我が国に駐留することを同条約が認めているということは、事前協議に係る事項のように別段の定めがある場合を除くほか、米軍がかかる目的の達成のため、飛行訓練を含め軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としている。かかる前提の下で、米軍による実弾射撃等を伴わない通常の飛行訓練については、施設・区域の上空に限って行うことが想定されているわけではなく、施設・区域の上空外において、これを行うことは、認められるところである。
 また、陸上上空における音速を超えた飛行一般を禁止するような一般的な国際的ルールが確立しているとは承知していない。
 一方、米軍は全く自由に飛行訓練等を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることは当然である。政府としては、三についてにおいて述べたとおり、本件事故が発生したことは遺憾なことと考えており、米側に対し、事故の原因究明、再発防止及び米軍機の飛行に際しての安全確保につき申入れを行ったところである。

六について

 平成三年三月十三日米軍機が釜石市所在の民家等の窓ガラス破損等十八件の被害を与えた事故については、米側との協議及び被害者からの同意書の取付け等を終え、被害者への賠償金の支払を終了している。
 また、本件事故に係る被害についても、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第十八条第五項の規定及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法(昭和二十七年法律第百二十一号)等の国内法令の規定に基づき、できる限り早期に賠償金の支払を行うべく処理中である。