質問主意書

第120回国会(常会)

答弁書


答弁書第三〇号

内閣参質一二〇第三〇号

  平成三年五月二十四日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員上田耕一郎君提出新中期防衛力整備計画(新中期防)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員上田耕一郎君提出新中期防衛力整備計画(新中期防)に関する質問に対する答弁書

一、二及び五について

 平成三年四月三十日に行われた池田防衛庁長官とチェイニー米国防長官との会談において、御指摘のようなことが具体的に話し合われたことはない。
 また、中期防衛力整備計画(平成三年度~平成七年度)(平成二年十二月二十日閣議決定。以下「新中期防」という。)においては、今後、引き続き、空中給油機能に関する検討を行うこととしており、現在、空中給油機の導入について具体的に申し述べる段階にない。

三について

 新中期防においては、早期警戒管制機を四機整備することとしており、現在、この計画に従い早期警戒管制機を整備することを考えている。

四について

 早期警戒管制機の具体的な整備については、今後、各年度における予算編成を通じて行われるものであり、現在、早期警戒管制機の価格について具体的に申し述べる段階にない。

六から九までについて

 新中期防は、五箇年間の主要な事業内容及び計画の実施に必要な防衛関係費の総額の限度を定めたものであり、あらかじめ各年度ごとの事業内容や経費規模まで決定されているものではない。具体的な整備内容については、各年度ごとの予算の編成に際して、その時々の事情を勘案して精査した上で決定されるものである。
 平成三年度の防衛関係費については、国会での御論議を踏まえ諸般の事情を総合的に勘案し、当初政府案から、国庫債務負担行為に係る平成四年度以降の支出予定額を含め約千億円の削減を行ったが、これに伴い、今後四年間で支出されて行くべき経費が、平成三年度の予算編成という時点においてみると、約千億円減ることとなる。
 なお、新中期防に盛り込まれている三年後の見直しに当たっては、その時点における国際情勢、技術的水準の動向、経済財政事情等内外諸情勢に併せて、今回の措置を重要な要素として勘案することとしており、新中期防の計画期間中の各年度の防衛予算の編成に当たっては、今回の措置を念頭に置きつつ実施することにより、結果として今回の措置が当該期間中の防衛関係費の総額に反映されることとなることは、既に、国会において、明らかにしているとおりである。

十及び十一について

 新中期防においては、「防衛計画の大綱」(昭和五十一年十月二十九日閣議決定。以下「大綱」という。)の基本的考え方の下、これに定める防衛力の水準の維持に配意して、効率的で節度ある防衛力の整備に努めることとしており、新中期防に従って防衛力整備を進めることにより大綱を超えるものが出てくるのではないかとの御指摘は当たらない。
 なお、御指摘の予備機は、大綱別表の作戦用航空機に含まれるものではなく、航空防衛力の整備の過程で、部隊編成上の事情等により、一時的に生ずるものであり、そもそも増強するというような性格のものではない。

十二について

 航空自衛隊の作戦用航空機については、大綱別表において、要撃戦闘機を含め全体として約四百三十機と定められており、この枠組みの中で、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう、質的な充実向上に配意しつつ、航空防衛力の整備を行っているところである。したがって、要撃戦闘機について大綱の枠を取り払って増強しようとしているという御指摘は当たらない。

十三について

 新中期防においては、警戒飛行部隊が保有する低空侵入に対する早期警戒監視機能について、諸外国の技術的水準の動向に対応してその充実を図るため、早期警戒管制機を整備することとしている。またその運用に当たっては、洋上における早期警戒監視機能として、また、地上の警戒管制組織の脆弱化を補完する機能として、特定の空域において固定的に運用するのではなく機動的な運用を行うことを予定している。
 OTHレーダーや空中給油機能については、新中期防において、今後、引き続き、その有用性等に関する検討を行うこととしており、具体的に申し述べる段階にない。
 なお、一般的に日米間の情報交換については、日米安保体制下において、我が国が、自主的判断に基づき、国益に則して、米国との間で情報を交換することは当然であると考えている。

十四について

 新中期防においては、最近における国際情勢の変化等を勘案しつつ、大綱の基本的考え方の下、これに定める防衛力の水準の維持に配意して、効率的で節度ある防衛力の整備に努めることとしており、新中期防を中止することは考えていない。