質問主意書

第119回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一一九第三号

  平成二年十一月十六日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員谷畑孝君提出皮革・革靴の関税割当制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員谷畑孝君提出皮革・革靴の関税割当制度に関する質問に対する答弁書

一について

 皮革・革靴の輸入に関して昭和六十一年四月一日から実施している関税割当(TQ)制度については、ガット・ウルグアイラウンド等の場において、EC・米国等関係国から、その撤廃を含む厳しい要求が出されている。
 一方、我が国の皮革・革靴産業は、社会的・歴史的にも非常に困難な問題を抱えているとともに、中小零細企業が大部分を占め、技術力・国際競争力にもぜい弱な面があることも十分認識している。
 政府としては、皮革・革靴の関税割当制度については、国内の産業事情に十分配慮しつつ、ガット・ウルグアイラウンド等の場において、関係国からの具体的な市場アクセス改善の要求に対し、適切に対処してまいりたい。

二について

 皮革・革靴産業に対しては、国際競争に耐え得る産業基盤を早期に整備するため、一般会計の製革業公害等対策事業、社団法人日本皮革産業連合会(以下「皮産連」という。)が実施している皮革・革靴産業の活性化事業等により、人材養成に配慮しつつ、各地域の実情に応じたきめ細かな皮革・革靴産業振興のための施策を実施している。
 具体的には、製革業公害等対策事業の中で、中堅技術者のための業種ごとの技術者研修、各地域の中小零細企業の技術力向上を図るための巡回技術指導事業等を実施するとともに、皮産連の活性化事業の中で、各地域の産業の実情に応じた商品開発や技術開発を実施している。
 また、これらの施策の実施に際しては、地域の要望を十分尊重するとともに、各事業の連携等を図るため、通商産業省と皮産連が密接に連絡・調整を行っているところである。
 今後ともこれらの施策の一層の充実を図ってまいりたい。

三について

 皮革・革靴産業の振興に当たっては、産地の実態を踏まえたきめ細かな対策が必要であると認識している。このため、政府としても従来から、地方公共団体が実施する各種の皮革・革靴産業振興事業に対し、製革業公害等対策事業の一環として補助している。
 大阪地区については、大阪府及び大阪市の補助により、大阪皮革産業会館が建設され、運営されているが、政府としても、大阪府が実施する靴製造技術研修機関への研修生派遣事業、国際見本市参加事業、デザインコンクール事業に対して、事業を実施するための必要経費の一部を補助している。
 今後とも、これらの施策及び皮産連の活性化事業の充実を図り、各地域の実情に応じたきめ細かな皮革・革靴産業振興対策の実施に努めてまいりたいと考えており、現在のところ、これらに加えて、政府として、産地における産業振興基金の創設を助成する考えはない。

四について

 政府としては、皮革・革靴産業については、従来から、業界、地方公共団体等関係各方面からの意見を聴取し、国際競争に耐え得る産業基盤を整備するという明確な振興目標を立てており、これを実現するため、人材育成等各種の皮革・革靴産業振興対策を実施しているところである。
 また、各皮革・革靴産地の状況を的確に把握し、地域の実情に即したきめ細かな対策を実施するため、関係地方公共団体において地域産業の実態等を常時把握するとともに、通商産業省と当該関係地方公共団体とが定期的に全国皮革行政連絡協議会を開催しているところである。
 今後とも、製革業公害等対策事業及び皮産連の活性化事業の充実を図るとともに、関係地方公共団体との連絡・協力体制を密にすることにより、各地域の実情に応じたきめ細かな皮革・革靴産業振興対策を実施してまいりたい。