質問主意書

第119回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五号

日本政府の中東支援策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二年十一月九日

清水 澄子   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   日本政府の中東支援策に関する質問主意書

一 米政府は、八月二日のイラク軍のクェート侵攻に伴い、八月中旬に沖縄に司令部を置く第三海兵遠征軍の海兵隊約二千人をペルシャ湾に出動させ、また八月八日、嘉手納基地のE3空中早期警戒機二機がペルシャ湾方面に発進している。
 これらの在日米軍の行動は、日米安保条約で言う極東の範囲をはるかに越えている。そこで以下のとおり質問する。

(1) 在日米軍の行動は、日米安保条約のいわゆる極東条項に違反した行動ではないのか。
(2) 在日米軍の行動は、日米安保条約第六条の実施のための交換公文に基づく事前協議が必要だと思われるが、米政府からの事前協議の申し出はなかったのか。
(3) 日本政府は、在日米軍の行動について、前記(2)でいう事前協議の議題としなかったのか。
 また事前協議の議題としなかったのならば、その理由を明らかにされたい。

二 米海軍は、十月一日現在、日本を母港とする次の艦艇を中東への戦列(オーダー オブ バトル フォー ミドル イースト)に加えた。そして、それらの艦艇はペルシャ湾での作戦行動についている。(米海軍協会データベースによる。)
 横須賀を母港とするもの…ミッドウェイ(空母)、ブルーリッジ(旗艦)、ファイフ、バンカーヒル、モービルベイ、ヒューイット(以上四艦はトマホーク搭載艦)
 佐世保を母港とするもの…セントルイス、デビューク、サンバナディーノ
 今回の米海軍のとった措置及び在日米海軍艦艇の中東での作戦行動について、以下のとおり質問する。

(1) 今回の米海軍のとった措置は、日米安保条約のいわゆる極東条項に違反しているのではないのか。
(2) 在日米海軍艦艇の中東での作戦行動は、日米安保条約第六条の実施のための交換公文に基づく事前協議が必要だと思われるが、米政府からの事前協議の申し出はなかったのか。
(3) 日本政府は、在日米海軍艦艇の中東での作戦行動について、前記(2)でいう事前協議の議題としなかったのか。また事前協議の議題としなかったのならば、その理由を明らかにされたい。

三 日本政府の中東支援策として、サウジアラビア等に駐留、配備されている米軍に対して、二十億ドル(約二千八百億円)の資金援助が決定され、既にその一部が執行されている。米軍に対する二十億ドルの日本政府の資金援助について、次のように質問する。

(1) サウジアラビア等に駐留、配備されている米軍は、明らかに武力による威嚇、そして武力行使を目的としている。この米軍に対して、日本政府の二十億ドルの資金援助は、集団的自衛権を禁じた憲法の規定に違反する行為ではないのか。違反しないとすれば、その理由は何か。
(2) サウジアラビア等に駐留、配備されている米軍に対する二十億ドルの日本政府の資金援助は、国際間及び国家間の条約、取決め、また国内法等いかなる根拠に基づくものか。
(3) 米軍に対する二十億ドルの資金援助の一部は、既に予備費から支出され、執行されている。財政法第二十九条によれば、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行うには、補正予算を作成し、国会に提出することとなっている。米軍に対する資金援助についても補正予算を作成して国会に提出し、その承認を得るべきではないのか。

  右質問する。