質問主意書

第118回国会(特別会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質一一八第七号

  平成二年七月十七日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員立木洋君提出障害者の雇用対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員立木洋君提出障害者の雇用対策に関する質問に対する答弁書

一について

 障害者の重度化及び高齢化などの事情を背景に、障害の程度や態様に適する職場の確保が困難となり、求人と求職の結合が容易ではない状況にあるため、企業における雇用率の改善が進みにくくなっていると考えている。

二について

 金融・保険・不動産業については、従来から重点指導対象業種として指導に取り組んできたところであり、十年前と比較すると雇用率について相当の改善は見られるもののいまだ不十分であり、今後とも、これらの業種の雇用率未達成企業に雇用好事例を紹介するなど業種の特性に応じたきめ細かな指導を行ってまいりたい。

三について

 障害者の雇用対策については、国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」の実現に向けて、雇用助成措置や職業リハビリテーションの充実により常用労働者としての一般雇用の場の確保を基本に進めていくべきであると考える。

四について

 政府としては、特に実雇用率の低い企業に対しては、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)に基づき、身体障害者の雇入れに関する計画の作成を命ずるとともに、同計画の適正な実施に関し勧告を行うこと等により法定の雇用率の達成が図られるよう指導を行っているところであるが、正当な理由がなく同勧告に従わない企業に対しては、その旨を公表することとしている。現在のところ、公表制度の趣旨に照らし公表の対象とすべき企業は存在していない。
 また、障害者雇用対策については、従来から、行政需要に応じた体制の強化に努めてきたところであり、今後とも、その円滑な遂行に努めてまいりたい。

五について

 いわゆる小規模作業所は、法定の要件を満たさない無認可の施設を総称するものであり、正確な全数は国として把握していないが、平成二年度予算における助成対象箇所数は、七百九十四である。

六について

 いわゆる小規模作業所は、法定施設と異なり、設置に当たっての特段の要件もないため、身近な地域の中で社会参加の場を求めている養護学校卒業後の身体障害者や精神薄弱者、また、回復途上にある精神障害者などを対象に、親の会やボランティアなどによって創設され、運営されているものと認識している。
 箇所数の増加状況は、正確に把握していない。

七について

 文部省が実施した学校基本調査によると、養護学校中学部卒業生の就職率については、昭和五十八年三月卒業生は、二・〇パーセント、昭和六十年三月卒業生は、一・六パーセント、昭和六十二年三月卒業生は、一・二パーセント、平成元年三月卒業生は、一・二パーセントとなっている。また、養護学校高等部卒業生の就職率については、昭和五十八年三月卒業生は、三十五・一パーセント、昭和六十年三月卒業生は、三十一・八パーセント、昭和六十二年三月卒業生は、二十九・六パーセント、平成元年三月卒業生は、三十二・五パーセントとなっている。

八について

 国としては、奨励的に運営費の補助を実施している。このほか、身体障害者や精神薄弱者の地域で働く場の確保のための施策として、平成二年度予算において、授産施設に小規模な分場を附置することを認めるなど、各種の法定事業についてその拡充を図っているところである。

九及び十について

 いわゆる小規模作業所に対しては、日本身体障害者団体連合会等の関係団体を通じて運営費の補助を実施しているが、これは障害者に対する地域における援護活動を障害者の親や親の会が中心となって行っている実態から、その状況を十分把握している団体を経由することが適当と判断したためであり、現在の団体経由の補助が適当と考える。
 いわゆる小規模作業所に対する補助金については平成元年度からその額を八十万円に引き上げたほか、平成二年度は前年度に比べて補助対象を百七十七箇所増やしたところである。
 これらの小規模作業所は、本来、関係者が自発的に多様な形態で活動しているものであり、国としては一定の要件のもとに奨励的補助を行っているところであるので、法定施設に準じた改善は困難であると考えるが、その充実に努めてまいりたい。