質問主意書

第118回国会(特別会)

質問主意書


質問第四号

びんの回収、再使用促進等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二年五月三十一日

上田 耕一郎   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   びんの回収、再使用促進等に関する質問主意書

 日本では、二十世紀初頭より、びんを回収し、再使用するシステムと流通経路が確立され、資源の有効利用にも役立ってきた。
 しかし、今日、一回のみ使用のワンウェーびんの増加、酒、醤油などのメーカーが回収びん使用比率を低下させていることによって、この回収システムが崩れ、びん回収業者が経営難から廃業する事態も生まれている。特に一升びんは、大手酒造メーカーが新びん使用比率を高めている。そのために再使用可能な回収一升びんが行き場を失い、回収業者や問屋に積まれたままになっている。
 こうした事態を放置するならば、びんがゴミとして街に放出され、深刻となっているゴミ問題を一層深刻化させるとともに、資源の有効利用や、地球環境の保全にも逆行する事態を招くものとなる。しかも、回収業者の廃業を放置するなら、回収システムを再確立することは不可能にならざるを得ない。
 こうした事態を回避し、回収再利用システムを守り、資源の有効利用促進、地球環境保全のため、緊急に必要な措置を講ずるために、以下質問する。

一 びん回収業者は「非常事態宣言」を出している。一升びんの滞留解決のためには、酒造の大手メーカー等が回収びん使用比率を一割程度引き上げるだけで直ちに解決できるものである。大手酒造メーカー等に対して、回収びん使用比率を高めるよう実効ある指導を行うべきと考えるがどうか。

二 企業に回収びん使用を促進させるために、再使用びんには、例えば「このびんは再使用できます」というような表示をさせることなどを検討すべきと考えるがどうか。

三 リサイクルシステムを守り促進させる上で、ワンウェーびんの無制限な増大に歯止めをかけることが不可避である。
 環境保全、ゴミ処理負担軽減の立場から、ワンウェー容器を適度に抑制する措置や、既にアメリカ等でも実施している、容器の材質規制措置を検討すべきだと考えるがどうか。

四 びんの中でも、ビール、コーラなどは、企業が責任を持って有料で引き取ることによって、回収・再使用システムを保持している。こうした製造企業が回収の責任を負うデポジット制度が他のびんにも拡大されるよう検討すべきでないか。

五 びん回収業者の社会的責任に照らして、回収びん価格維持制度や、回収業者への税制優遇措置を検討すべきでないか。

六 びんのリサイクル促進のために、消費者に対しても、政府広報誌等による宣伝活動を強化するため、必要な予算措置を採るべきでないか。

七 経済企画庁発行による環境、資源問題の広報パンフレット「地球SOS」などで、びんのリサイクルシステムを、ガラスくず・カレット化して再生産することのみが記述され、洗浄して再使用することが紹介されていないものがあったが、再使用を正しく位置付けて紹介すべきだと考えるがどうか。

  右質問する。