質問主意書

第116回国会(臨時会)

答弁書


第百十六回国会答弁書第九号

内閣参質一一六第九号

  平成二年一月十九日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員田英夫君提出大韓航空〇〇七便によるソ連領空侵犯・撃墜事件の真相究明に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員田英夫君提出大韓航空〇〇七便によるソ連領空侵犯・撃墜事件の真相究明に関する質問に対する答弁書

一について

 大韓航空機の機影が航空自衛隊のレーダーから消えたのは昭和五十八年九月一日午前三時二十九分であるが、種々の情報を加え判断した結果、政府は同機が同日午前三時三十八分頃サハリン沖モネロン島近辺で撃墜されたと判断したものであり、同機の撃墜時における正確な所在地点は不明である。

二について

 御指摘の事件に関するレーダー記録は、三沢の防空管制指令所で総合処理されたものであり、各レーダーサイトごとの探知状況は示されていない。

三について

 1から4まで、9、10、18及び22から24までの物件は、御指摘の事件とは関係のないことが確認されたので、廃棄された。
 5、11、13、15、17、19から21まで及び25の物件は、大韓航空〇〇七便の乗員又は乗客の人体の一部と推定されたので、大韓航空機事故遺族会に引き渡された。
 6から8までの物件は、大韓航空〇〇七便の機体の一部であることが確認されたので、大韓民国政府に引き渡された。
 12及び14の物件は、大韓航空〇〇七便の乗客の遺品であることが確認されたので、12の物件は株式会社大韓航空を通じて、14の物件は在札幌大韓民国総領事館を通じて、それぞれ遺族に引き渡された。
 16の物件は、人骨ではなく、かつ、御指摘の事件とは関係のないことが確認されたので、廃棄された。
 26において御指摘のソ連政府から日本国政府に引き渡された物件は合計七十八点であり、これらのうち、大韓航空〇〇七便の機体の一部と確認された六十点は大韓民国政府に、韓国人乗客の遺品と確認された四点は株式会社大韓航空を通じて遺族に、大韓航空〇〇七便の乗員又は乗客の遺品と推定された十四点は大韓航空機事故遺族会に、それぞれ引き渡された。

四について

 事故原因究明に必要なボイスレコーダー等機体の重要な部分がすべていまだに発見されていない状況では、国際的な中立的機関である国際民間航空機関(ICAO)の調査報告が依然として最も信頼し得る調査報告であると考える。政府はその後も引き続きICAOに対し真相究明のための努力を求めてきたが、ICAOは、ソ連等事件の関係国から新たな事実又は証拠の発見についての報告がなされていないので、同調査報告を再検討することはできないとしている。
 政府は、右経過について、随時、国会等の場で説明してきたところである。