質問主意書

第116回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五号

内閣参質一一六第五号

  平成元年十一月二十八日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員林紀子君提出米陸軍秋月弾薬廠の幹部将校の家族住宅建設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員林紀子君提出米陸軍秋月弾薬廠の幹部将校の家族住宅建設に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 広島防衛施設局は、音戸町に対し、平成元年二月から数回にわたり、米軍家族住宅の建設計画について説明し、協力を要請した。その後、同年六月、地元自治会主催で開催された説明会において、音戸町長が右建設計画について説明したと承知している。

三について

 昭和六十三年四月、在日米軍司令部から防衛施設庁に対し米軍家族住宅建設についての要望があった。

四及び五について

 御質問の米軍家族住宅の規模、工事費等については、現在、検討中であり、答弁できる段階にない。
 また、調査設計費については、契約未了の部分があり、契約業務の適正化という観点から答弁することは差し控えたい。

六について

 御質問の秋月弾薬廠とは、秋月弾薬庫、川上弾薬庫、広弾薬庫、呉第六突堤、灰ケ峰通信施設の五つの米軍施設・区域を指すものと考えられるが、これら米軍施設・区域は米陸軍(第八十三兵器大隊)が管理し、主として弾薬の貯蔵・検査を行っているものと承知している。一方、これら施設・区域における将校数及び入居予定者等の詳細については承知していない。

七について

 広島防衛施設局長は、平成元年三月、長門観光開発株式会社と御質問の土地についての売買契約を締結した。
 なお、売買の価格については、答弁することを差し控えたい。

八について

 昭和六十三年十二月十五日の日米合同委員会において、広島県安芸郡音戸町の土地約二千八百平方メートルを米軍家族住宅建設用地として呉第六突堤に追加提供する旨の合意がなされた。また、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二条第一項(a)に規定する「個個の施設及び区域に関する協定」の内容は、広島県安芸郡音戸町の土地約二千八百平方メートルを呉第六突堤に追加提供するというものである。
 また、右住宅建設用地の管理権は、米側が有している。

九について

 御質問の住宅施設は、米軍に提供された場合には、日米地位協定にいう「施設及び区域」に含まれることとなる。
 また、右住宅施設の詳細については、今後、米側と調整することとしている。

十について

 日米地位協定上、米軍人による犯罪に対する捜査の権限及び刑事裁判権は、第十七条及び関連取極に従って行使されることとなる。

十一について

 御質問の住宅施設が日米地位協定第二条第一項にいう施設又は区域であって入ることを禁じた場所に該当すれば、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法(昭和二十七年法律第百三十八号)第二条の適用があり得る。

十二について

 日米地位協定第三条第一項により、米側は、その施設・区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができることとされていることから、米側がその使用を許された施設・区域内においては、消防機関は、米側のかかる管理権を侵害するかたちで、消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)に基づく活動を行うことはできない。
 なお、消防機関と米軍との間で、相互の出動要請方法、立入調査等に関する取決めが締結されている場合には、その取決めに基づき、所要の消防活動が行われることとなる。

十三について

 米軍家族住宅建設後の道路、上下水道、ごみ処理施設に係る便宜供与及び使用料については、今後、音戸町と米軍との間の協議により定められるものと考える。
 また、これらの便宜供与に伴う施設の整備については、今後、国と音戸町との協議によることとなる。

十四について

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四十九年法律第百一号)の適用については、今後、音戸町と協議してまいりたい。
 なお、本件家族住宅の整備提供を理由として、音戸町を特定防衛施設関連市町村として指定することは困難である。
 また、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律(昭和二十七年法律第百十号)に基づき米軍に使用させている固定資産については、国有提供施設等所在市町村助成交付金の交付の対象となる。
 算定方法は、予算総額の百分の七十五に相当する額を対象資産の価格にあん分し、百分の二十五に相当する額を飛行場、演習場等の対象資産の種類、用途、市町村の財政状況等を考慮して基地所在市町村に配分するものである。

十五について

 御質問の米軍家族住宅の建設は、日米安保体制の円滑な運用のため必要な施策であり、中止・撤回の考えはない。