第116回国会(臨時会)
質問第七号
防衛統合ディジタル通信網に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成元年十一月二十二日 吉川 春子
防衛統合ディジタル通信網に関する質問主意書 防衛庁は、平成五年度より運用開始の予定で、防衛統合ディジタル通信網(以下「IDDN」と略す。)の建設を昭和六十二年度から進めている。この建設費は、総額が昭和六十年度価格で八百億円という膨大なものであり、今年度予算においても、約二百十四億円が計上されている。
一 全国のIDDNの通信施設(既設、予定を含む)の位置、名称、機能をすべて明らかにされたい。 二 自衛隊の保有する指揮通信システムの名称、機能、端末装置の態様、伝送手段をすべて明らかにされたい。 三 自衛隊の通常業務で現在、通信容量の増大のため支障を来している業務はあるのか。仮に、通信量の増大があるとしても、太平洋側に加えて日本海側にも新たに幹線が必要になるほど大容量・高速の情報通信を処理しなければならない理由は何か。 四 各種指揮通信システムのうち、中央指揮通信システムを始め、戦術指揮通信システムとして現在新バッジシステム(空自自動警戒管制システム)、SFシステム(海自自衛艦隊指揮支援システム)、DICS(陸自師団新通信システム、開発中)が三自衛隊で運用又は開発中であるが、これらのシステムはIDDNによってどのように連接・統合されるのか。 五 これら三自衛隊の通信システム上の情報は、IDDNによって中央指揮通信システムと接続され、中央指揮所に伝送されるのか。また膨大な情報を処理するため、中央指揮所は将来、高度な情報処理機能・通信機能を持ったいわゆるインテリジェント・ビルに建て替えることが必要になるのか。 六 IDDNの中継所などの諸施設は指揮通信の重要性から、有事においては攻撃目標になることは疑いない。マイクロ回線が破壊された際の通信回線の復旧を想定して陸海空三自衛隊は、昨年十月二十五日から二十七日までの三日間、陸自久里浜駐屯地で初の共同通信訓練を行ったとの報道があるが、この訓練の目的、形態を説明されたい。 七 今年度から統合幕僚会議に新設された第六幕僚室は、IDDNの統合運用面からの検討を始め、各自衛隊間や米軍との通信方式の統一についても検討すると言われているが、これは事実か。もしそうだとすれば、この通信方式の統一は、自衛隊を米軍の一部隊として運用することになる危険なものだと思うがどうか。 八 現在、自衛隊と米軍との間には電話、ファクシミリなどが連接されていると思うが、IDDNが完成し運用を開始するときには、この回線を米側に接続し自衛隊の各種情報を直接提供することになるのか。 九 IDDNと在日米軍通信網、例えば関東地域米軍ディジタルマイクロ通信網あるいは日本と韓国を結ぶ在日米軍トロポスキャッター回線などを連接させ、在日米軍と自衛隊が双方向通信を行うためにこれを利用することは、防衛庁設置法・自衛隊法など国内法上可能なのか。 十 IDDNは、以上みたようにC3I戦略に基づき自衛隊の統合運用、有事即応体制を強化するものであり、さらには米軍との一体的なインターオペラビリティを高めるものに外ならない。このことは、日本が一層アメリカの核戦略に組み込まれることを示すものである。また、八百億円もの巨額の国費を新たな通信回線の建設につぎ込むことは認められない。よって、IDDN建設計画を直ちに中止すべきだと思うがどうか。 右質問する。 |