質問主意書

第116回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

自衛隊朝霞基地の「戦闘訓練」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成元年十月三十日

吉川 春子   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   自衛隊朝霞基地の「戦闘訓練」に関する質問主意書

 自衛隊朝霞基地周辺は、埼玉県朝霞市、新座市、和光市、東京都練馬区にまたがり、小・中・高等学校などが集中的に立地している「文教地区」である。
 この地区には、朝霞市立第四小学校(児童数六一五人)、同第八小学校(同九八七人)、同第一中学校(生徒数七四四人)、同第四中学校(同八五五人)、埼玉県立朝霞高校(同一、四八二人)、同朝霞西高校(同一、四七八人)、新座市立栄小学校(児童数三八八人)、同第四小学校(同七三〇人)、埼玉県立新座総合技術高校(生徒数一、〇五四人)、和光市立広沢小学校(児童数五三六人)、同本町小学校(同六九九人)、同第二中学校(生徒数八〇七人)、埼玉県立和光国際高校(同一、一三四人)、同和光養護学校(児童・生徒数一五〇人)、同和光南養護学校(同一七五人)、練馬区立大泉学園桜小学校(児童数四五八人)、同桜中学校(生徒数三九四人)、東京都立大泉学園高校(同一、一五〇人)、同大泉養護学校(児童・生徒数一一五人)の十九校に、一万四千人もの児童・生徒が学び、武蔵大学(グランド、第一学校寮)、幼稚園、保育園なども設置されている。また、新座市では新たに障害者施設の建設も予定している。
 演習地の北側に面する朝霞市立第四小学校(猪野彦一校長、児童数六一五人)は、校庭の南側の金網のフェンスの向こう側がすぐ演習場であり、小銃を持った迷彩服の自衛隊員が走ったり、対戦車砲を積んだジープが通過するのが教室の子どもたちから目撃されるうえ、「ダダダダダー」という射撃音が授業中でも聞こえてくるという状況である。
 また、同校の校舎上空でヘリコプターがけたたましい騒音をあげて旋回し、児童の目前でこのヘリコプターからロープやパラシュートを使って自衛隊員が降下訓練を行っているのである。
 さらに、十月二十九日の自衛隊観閲式を前にして、同校の上空を編隊を組んだ軍用ジェット機が低空飛行で横切ったり、同校の近くで攻撃用のヘリコプターの編隊が低空飛行や緊急の離発着を繰り返し行い、まさに本番さながらの予行演習を展開しており、授業中であっても教師や児童の声がかき消され、子どもたちが耳をふさぎ、たびたび授業が中断されており、まさに校庭の向こうに「戦場」があるという異常環境である。
 学校教育法施行規則に「学校の位置」は、「教育上適切な環境にこれを定めなければならない」とあり、当該地域において子どもたちがより良い環境で授業が出来るように改善することは焦眉の課題であると考える。したがって以下質問する。

一 朝霞基地のように、学校に隣接して自衛隊・米軍の基地があるのはどこか。学校名、所在地を明らかにされたい。その中で、騒音その他の苦情がでている学校は幾つあるか。それはどこか、学校名、所在地を明らかにされたい。

二 朝霞基地ではどのような訓練を行っているのか。また、一九八八年、八九年に行った訓練の回数と時間、参加人員、使用した装備等、さらに参加部隊名等を明らかにされたい。

三 学校のすぐ隣で射撃訓練を行うことは、子どもたちの見えるところでの人殺しの訓練をすることにほかならず、とりわけ情操教育という点から特に、好ましくないと思うがどうか。

四 学校の上空をヘリコプターが旋回したり、ジェット機が飛び交っているが、万が一落下したり事故が起きないとも限らず、騒音によってたびたび授業も中断し、学校からも抗議を行っている。直ちに訓練をやめるなど何らかの対策をとるべきではないか。

五 全国の基地周辺の学校において、教育上、又は騒音対策上どのような対策が講じられているか。

六 防衛庁本庁の市ケ谷移転に伴い、朝霞基地は陸上自衛隊東部方面総監部の移転先になっている。朝霞基地周辺は、埼玉県下はおろか首都圏でも有数の文教地区で、先に述べたように十九もの学校がある。
 東部方面総監部をこのような文教地区に移転させることは、教育環境を著しく阻害することになる。防衛庁は六本木の本庁移転の理由として私に「商業地に防衛庁本庁がふさわしくない」と説明したが、文教地区への移転は、もっとふさわしくない事ではないか。移転計画の白紙撤回はもちろん、基地を撤去し市民のためにすみやかに返還すべきと考えるがどうか。

  右質問する。