質問主意書

第115回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一一五第一号

  平成元年八月二十五日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員猪熊重二君提出地方公共団体の休日条例制定権と地方自治法の休日規定との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員猪熊重二君提出地方公共団体の休日条例制定権と地方自治法の休日規定との関係に関する質問に対する答弁書

第一点一及び第二点一について

 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第四条の二第二項の規定は、同項各号に掲げる日のすべてについて条例で規定することを予定しているものであり、また、同項各号に掲げる日以外の日について条例で規定することを認めない趣旨のものであると考えている。

第一点二について

 地方自治法第四条の二の規定は、地方公共団体における土曜閉庁制度を導入し地方公共団体の休日とする土曜日を条例で定めることとするとともに、従来から一般的な休日とされてきた日曜日、国民の祝日等もこれと併せて当該条例で定めることとすることにより地方公共団体の休日に関する制度を整備したものである。
 同条第一項は、地方公共団体の休日は条例で定めるべき旨の原則を明らかにしたものであり、また、同条第二項は、同条第一項の条例で定めるべき日について具体的に規定したものであって、同条第一項及び第二項は一体として地方公共団体の休日に関する制度を定めたものである。この場合において、同条第二項は、地方公共団体の行政が住民の生活に深くかかわるものであるとともに国及び他の地方公共団体の行政とも密接な関連を有して行われているものであることから、住民の利便と国、都道府県、市町村を通ずる行政の円滑な運営を確保するため、国の行政機関の休日に対応するものを当該条例で定めるべき日として特定したものである。

第二点二について

 地方公共団体がその休日を定めることは、地方公共団体の運営の基本的事項の一つであり、地方自治法第四条の二の規定が制定される以前において、都道府県については地方自治法施行規程の一部を改正する政令(昭和六十三年政令第三百四十八号)による改正前の地方自治法施行規程(昭和二十二年政令第十九号)第二十九条の規定によることとされていたが、市町村については条例でその休日を定めることができたものである。

第二点三について

 地方公共団体の組織及び運営に関する事項について定める法律は、地方自治の本旨に基づいたものであることが必要である。地方自治法第四条の二第二項の規定は、住民の利便と国、都道府県、市町村を通ずる行政の円滑な運営を確保する観点から設けられたものであり、地方自治の本旨に反するものではないと考えている。

第二点四及び六について

 地方自治法第四条の二第一項の規定が地方公共団体の休日は条例で定めるべき旨の原則を明らかにしたものであり、同条第二項の規定が地方公共団体の休日として同条第一項の条例で定めるべき日を特定したものであることは、第一点二についてにおいて述べたとおりである。この同条第二項の趣旨は、同項第一号及び第三号において地方公共団体の休日のうちその具体的な定めを個々の地方公共団体の決定にゆだねることとしている日が規定されていることからも明らかである。

第二点五について

 地方自治法第四条の二第一項の規定は、地方公共団体の休日が住民の生活に大きな影響を及ぼす等地方公共団体の運営の基本的事項であることから、条例で定めるべき旨の原則を明らかにしたものである。

第二点七について

 地方自治法第四条の二第二項の規定は、第一点二について及び第二点三についてにおいて述べたとおり、地方自治の本旨に反するものではなく、住民の利便と国、都道府県、市町村を通ずる行政の円滑な運営を確保する観点から設けられたものである。

第二点八について

 労働時間の短縮は当面の重要な政策課題の一つであり、その一環として地方公共団体における土曜閉庁方式の導入を推進することが必要であるが、地方公共団体の行政は住民の生活に深くかかわるものであるとともに国及び他の地方公共団体の行政とも関連するものであるので、地方公共団体の休日に関する制度は国及び他の地方公共団体と均衡のとれたものである必要があり、地方自治法第四条の二の規定はこのような趣旨で設けられたものである。