質問主意書

第114回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一一四第一七号

  平成元年六月十六日

内閣総理大臣 宇野 宗佑   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員佐藤昭夫君提出パートタイム労働者の権利保障等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員佐藤昭夫君提出パートタイム労働者の権利保障等に関する質問に対する答弁書

一について

 パートタイム労働者の解雇に関しては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第二十条の解雇の予告に関する規定が適用されるところであり、また、パートタイム労働者に対する反復更新された期間の定めのある労働契約の終了についての予告及び通常の労働者への応募機会の付与に関しては、パートタイム労働対策要綱(昭和五十九年労働事務次官通達)において使用者が考慮すべき事項を示しており、政府としては、その趣旨に沿って今後とも啓発指導に努めてまいりたい。

二及び六について

 パートタイム労働対策要綱においては、使用者は、「パートタイム労働者の特性、同種の業務に従事する通常の労働者の労働条件との均衡等を考慮しつつ、適正な労働条件を設定すべきである」としているところであり、政府としては、パートタイム労働者の賃金及び退職金についても、この趣旨に沿って今後とも啓発指導に努めてまいりたい。
 次に、事業主が中小企業退職金共済制度に加入した場合には、期間を定めて雇用される者、所定労働時間の特に短い者等を除き原則としてすべての労働者について退職金共済契約を締結するようにしなければならないこととされている。また、事業主は、所定労働時間の特に短い者であっても任意に退職金共済契約を締結することができることとされており、今後とも、パートタイム労働者の同制度への加入促進に努めてまいりたい。

三について

 所得税が課税されない給与収入の限度額の水準は、基礎控除の額と給与所得控除の額との組み合わせにより定まるものであり、この限度額の水準は、既に、昭和六十三年十二月の税制改正において、基礎控除の引上げに伴い九十二万円まで引き上げられたところであるので、これを更に引き上げることは考えていない。

四について

 労働基準法第三十四条は、労働時間が継続した場合に蓄積される労働者の心身の疲労を回復させるため、使用者に対し、労働時間が六時間を超える場合には休憩時間を与えることを義務づけており、この規定は、通常の労働者と同様にパートタイム労働者にも適用される。
 また、パートタイム労働者など所定労働日数が通常の労働者に比べて少ない労働者に対しても、所定労働日数に応じて年次有給休暇を比例的に付与することが、昭和六十三年四月に施行された労働基準法第三十九条の改正により義務づけられたところである。
 さらに、妊産婦等に係る危険有害業務の就業制限、産前産後の就業制限及び生理日の就業が著しく困難な女子に対する措置に関する労働基準法の規定は、通常の労働者と同様にパートタイム労働者についても適用されるところであり、また、定期健康診断についても、労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第四十四条の規定により、パートタイム労働者が同条の「常時使用する労働者」に該当する場合にはその実施が義務づけられているところである。

五について

 雇用保険においては、近年のパートタイム労働者の質量両面の変化にかんがみ、失業時に保障を要する一定のパートタイム労働者について適用拡大を図った上で、その就業及び労働市場の実態に応じた給付の特例を設けることとし、そのための法律案を第百十四回国会に提出したところである。
 健康保険及び厚生年金保険は、常用的使用関係にある者を対象とした制度であり、常用的使用関係にある者とは勤務の形態が異なるパートタイム労働者に同一に適用することは適当ではない。なお、健康保険及び厚生年金保険が適用されない者については、国民健康保険及び国民年金が適用されることとなっている。
 パート手帳の交付に関しては、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の適用を受ける者に係る被保険者資格の明示又は被保険者期間の通算等のため、被保険者証、年金手帳等を交付しているところである。

七について

 政府としては、大都市を中心に「パートバンク」を設置し、パートタイム労働者に対する情報の提供、職業相談及び職業紹介を行うとともに、事業主からのパートタイム労働者の雇用労務管理に関する相談にも対応しているところであり、今後とも、パートタイム労働者の職業紹介、雇用労務管理に関する相談等の充実強化に努めてまいりたい。
 また、パートタイム労働者の労働条件に関しては、全国の労働基準監督署等において相談に応じているほか、労働基準法等の履行確保のための監督指導を行ってきたところであり、今後とも、パートタイム労働者の労働条件の確保に努めてまいりたい。