第114回国会(常会)
答弁書第一四号
内閣参質一一四第一四号 平成元年六月九日 内閣総理大臣 宇野 宗佑
参議院議員佐藤昭夫君外一名提出障害児教育に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員佐藤昭夫君外一名提出障害児教育に関する質問に対する答弁書 一の(一)及び(二)について 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数については、特殊学級を含め、現在、第五次公立義務教育諸学校学級編制及び教職員定数改善計画(以下「第五次改善計画」という。)により、改善を図っているところであり、その着実な推進に引き続き努力してまいりたい。 一の(三)について 公立小学校及び公立中学校に特殊学級を設置するか否かは、当該学校の児童・生徒の実態を踏まえ、当該学校の設置者である市町村が適切に対応すべき問題であると考える。 一の(四)について 難聴特殊学級及び言語障害特殊学級は、軽度の聴覚障害又は言語障害のある児童・生徒の学校教育の場として、重要な意義を有しており、今後ともその充実が必要であると考えている。 一の(五)について いわゆる通級学級については、当該学校に特殊学級対象児童・生徒が在籍していない場合には、当該学級に関し、教員定数の措置はなされないこととなるが、通級学級を設置する学校の選定や教員の人事配置を工夫することなどにより、その地域の実情に応じた適切な対応をするよう、各都道府県に対し、指導しているところである。 一の(六)について 軽度の心身障害児に対する教育の在り方については、その充実方策について引き続き検討してまいりたい。 一の(七)について 平成元年五月二十二日現在、国立大学医学部附属病院四十二病院のうち、病院内に養護学校の分校又は小学校若しくは中学校の特殊学級が設けられているのは七病院(約十六・七パーセント、児童・生徒数五十七人)、訪問教育が行われているのは十病院(約二十三・八パーセント、児童・生徒数七十一人)である。 一の(八)について 病弱養護学校の対象とならない入院中の児童・生徒に対し適切な教育が行われるよう、都道府県及び市町村の教育委員会に対し、病院内への学級の設置等に関し適切な配慮を行うよう指導しているところである。 二の(一)について 都道府県及び市町村の就学指導委員会の委員のうち、精神科の医師及び心理学専門の大学教員等の人数は、昭和六十三年十月一日現在、都道府県については百七人、市町村については八百六十九人である。 二の(二)について 心身に障害のある児童・生徒の就学指導、就学相談等を適切に行うため、都道府県及び市町村の教育委員会に対しては、機構組織の整備充実を図り、専門の職員の配置に努めること、都道府県の教育委員会に対しては、特殊教育センターの整備に努めることを指導しているところである。 二の(三)について 心身に障害のある児童・生徒についてその障害の状態や発達段階を把握し、適切な指導を行うために、児童・生徒の実態に応じて、小学校及び中学校における就学指導体制の整備を図るよう指導しているところである。 三の(一)について 心身に障害のある者が義務教育を終了した場合においては、その者の障害の状態や能力、適性等に応じて、養護学校の高等部のほか、労働、福祉、医療関係機関等の中から適切な進路を選択することが望ましいので、都道府県に対し、各地域における労働、福祉、医療関係機関等の設置状況を考慮しながら、養護学校の高等部の整備を図るよう指導しているところである。 三の(二)及び(五)について 養護学校の高等部については、建物の新増築に要する経費の二分の一を補助することとしており、これを更に引き上げることは考えていないが、毎年度、都道府県等の整備計画を踏まえた所要の事業量を確保しているところである。 三の(三)について 特殊教育諸学校の高等部において重複障害者を受け入れた場合には、重複障害学級を設置するなどして生徒の実態に応じた適切な教育が行われるよう指導しているところである。 三の(四)について 後期中等教育は義務教育ではなく、生徒の能力、適性等に応じて、その機会が用意されるものであることから、希望者全員が後期中等教育を受けられるようにすることは困難であるが、病弱者に対し、その心身の障害の状態や能力、適性等に応じて適切な教育を行う観点から、各地域の実情に応じ、病弱養護学校の高等部の整備を図るよう指導しているところである。 三の(六)について 養護学校の高等部については、建物の新増築に要する経費の二分の一を補助することとしており、これを更に引き上げることは考えていないが、設置者である都道府県等において、学校規模が過大なため、教育上支障が生じたり施設整備上問題があるなどの理由から分離新設を行う場合等を含め、養護学校の施設整備については、従来から、都道府県等の整備計画が円滑に実施されるよう所要の予算措置を講じてきているところである。 四の(一)について 特殊教育諸学校に在学する児童・生徒のうち通学可能な者については、都道府県の教育委員会が通学条件を整備することが必要であり、国においても、従来から、スクールバスの購入費及び通学に要する交通費について、国庫補助を行っているところである。 四の(二)について いわゆる訪問学級については、おおむね重複障害児がその対象となっており、この場合、重複障害学級の学級編制の標準により学級編制が行われ、それに従い教員定数の措置がなされているところであるが、現在、特殊教育諸学校の小学部及び中学部については、第五次改善計画により、重複障害学級の標準を五人から三人に改善を図っているところであり、同計画の着実な推進に引き続き努力してまいりたい。 四の(三)について 特殊教育諸学校の小学部及び中学部における訪問教育は、心身の障害のため通学して教育を受けることが困難な児童・生徒に対して、義務教育の機会を保障する見地から実施されているところである。
四の(四)について 訪問教育の実施のための交通手段の確保については、自家用自動車使用中の事故に関する取扱いを含め、学校の設置者において、その地域の実情に応じた適切な措置が講じられる必要があると考えている。 五の(一)について 養護学校を含めた学校の教職員の健康管理については、学校の設置者は、学校保健法(昭和三十三年法律第五十六号)の規定に基づき、毎学年定期に又は必要に応じて臨時に健康診断を実施し、その結果に基づき、健康に異常があると認められた教職員については、治療の指示や勤務の軽減等の適切な措置を講じるなどの対応を行っているところである。 養護学校の教職員の勤務内容の特殊性にかんがみ、学校の設置者に対し、健康管理の一層の徹底と勤務環境の整備を図るなどの適切な措置を講ずるよう、今後とも指導してまいりたい。 五の(二)について 公務災害の認定に当たっては、補償の迅速な実施という地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)の趣旨に沿って、認定事務が適正かつ迅速に行われる必要があると考える。
五の(三)について 妊娠中の女子教職員については、母体保護の観点から、産前産後休暇、軽易労働、通勤緩和などの保護措置が講じられており、また、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律(昭和三十年法律第百二十五号)により、女子教職員が出産することとなる場合には、産前産後の一定期間、その補助教職員を配置できることとなっている。また、現在、特殊教育諸学校に置かれる寮母の定数について、第五次改善計画及び第四次公立高等学校等教職員定数改善計画により、改善を図っているところであり、これらの計画の着実な推進に引き続き努力してまいりたい。 |