第114回国会(常会)
答弁書第一一号
内閣参質一一四第一一号 平成元年五月十六日 内閣総理大臣 竹下 登
参議院議員塩出啓典君提出公的年金制度の信頼性の確立に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員塩出啓典君提出公的年金制度の信頼性の確立に関する質問に対する答弁書 一について 厚生年金制度については、高齢化の急速な進展や平均寿命の伸長等により三十年後には老齢厚生年金受給者数が現在の三倍強にまで増大する一方、保険料を負担する被保険者数はほぼ横ばいのままであることから、支給開始年齢を現行のまま据え置いた場合には保険料率はピーク時に当たる平成三十二年度には三十一・五%にまで引き上げざるを得ないものと見込まれ、後代の負担が過大となるおそれが大きい。
二について 今後、本格的な高齢化社会を迎えるに当たって、後代の人々の負担を過大なものとせず、厚生年金制度を長期的により安定したものとしていくために、今回の年金制度の改正では、支給開始年齢を十分時間をかけて段階的に引き上げていくこととし、そのためのスケジュールを明示することとしており、これにより、最終保険料率は、現行の支給開始年齢を据え置いた場合には、三十一・五%まで引き上げざるを得ない見込みであったものが、二十六・一%に抑えられることとなる。
三について 公的年金制度は、契約により定められた保険料拠出の範囲内で給付を行う私的年金とは異なり、老後生活の主柱となるに足る給付を主として後代の負担により保障する世代間扶養の仕組みを基本として成り立っているものであり、社会経済情勢の変化に対応して、給付及び負担の両面について必要な見直しを行うこととされているものである。
四について 個人年金は、個人が任意に積み立てるもので家計上の余裕のある者ほど多額に行い得るものであり、また、中途解約により元利金を受け取る場合には一般的な貯蓄と同様となるものであることを勘案すれば、現行を上回る税制上の措置を講ずることについては、負担の公平、課税の中立性の観点等から慎重であるべきものと考えている。 |