質問主意書

第114回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質一一四第一〇号

  平成元年五月十九日

内閣総理大臣 竹下 登   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員佐藤昭夫君提出京都府丹後半島における国営農地開発事業等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員佐藤昭夫君提出京都府丹後半島における国営農地開発事業等に関する質問に対する答弁書

一について

 国営農地開発事業については、大規模な開発適地の減少等の事情を踏まえ、平成元年度以後新規の着工を取りやめることとし、現在事業を実施している地区の早期完了に極力努力していくこととしたものである。一方、平成元年度において創設することとしている国営農地再編パイロット事業は、農山村地域における農地の総合的な整備の必要性が高まっていることを踏まえ、既耕地と未墾地の一体的な開発整備を行おうというものである。
 今回の制度の改正により、現在事業を実施している国営農地開発事業の事業計画が変更されるものではない。

二の(一)について

 国営農地開発事業丹後(東部・西部)地区については、(1)土地所有者と営農予定者が異なる土地が多く、これらの土地については営農予定者が特定されてから造成工事を行うこととしていること、(2)防災対策上一定期間内に造成工事を行える面積に制約があること等の特殊性も踏まえ、事業費の確保に努めてきたところであり、今後とも所要の事業費の確保に努めてまいりたい。

二の(二)について

 農地開発事業は、受益者の私有財産の資産価値の向上につながるという性格から、一定の受益者負担を求めるものであるが、国営農地開発事業にあっては、事業費につき高率の国庫負担を行うとともに受益者負担金につき長期低利の支払条件を設定する等その軽減に努めているところである。
 また、営農の円滑な推進については、京都府等関係機関において営農指導、営農予定者の確保・育成に努めているところであり、国においても現地に実証展示ほを設置する等これを支援しているところである。
 なお、営農予定者が特定されていない土地については、その特定を待って造成工事を行うこととしている。

二の(三)について

 農地造成工事を行うに当たっては、沈砂池を設置する等防災対策に十分配慮しているところである。
 また、沈砂池の設計に当たっては、近傍の雨量観測施設の中で長期間かつ精度の高いデータが得られる豊岡測候所の記録を用いるとともに、下流側の状況、施設の経済性等を考慮して三十年に一回の確率降雨を基準にしている。

二の(四)について

 暗きょ排水及び防風施設については、地形、地質等地域の自然条件によってその必要性に違いがあることから、これらの自然条件を調査した上で、必要な工事を事業計画に取り入れることとしている。なお、造成工事を行った後に、予期し得なかった問題が生じた場合には、必要に応じて暗きょ排水又は防風施設の工事を実施することとしている。

二の(五)について

 木子団地の農地造成工事と宇川のあゆの生育状況等との関係については、専門家による調査を実施したところであるが、当該造成工事があゆの生育等に影響を与えたとは確認できない旨の報告を受けている。この調査結果については、既に地元の漁業協同組合に説明したところであり、今後とも漁業協同組合の理解を得るべく努力することとしている。

三について

 米の貿易問題については、ウルグアイ・ラウンドにおいて各国の農業問題や制度について議論を行う段階において討議することが適切である。
 国民の主食であり、かつ、我が国農業の基幹作物である米については、国会における決議等の趣旨を体し、生産性の向上を図りつつ、自給するとの基本的な方針で対処していく考えである。
 また、食料は、国民生活にとって最も基礎的な物資であり、国民にその安定供給を図っていくことは、農政の基本的役割であることから、国民の納得し得る価格での食料の安定供給に努めることを基本として、与えられた国土条件等による制約の下で可能な限り生産性の向上を図りつつ、国内での食料供給力の確保に努めてまいりたい。