質問主意書

第114回国会(常会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質一一四第九号

  平成元年五月十六日

内閣総理大臣 竹下 登   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員塩出啓典君提出かんきつ園地再編対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員塩出啓典君提出かんきつ園地再編対策に関する質問に対する答弁書

一の1について

 うんしゅうみかん園地については、その転換後も農地として利用されることが基本であると考えている。しかし、今回のようにうんしゅうみかん園地の大幅な転換を速やかに推進するに当たっては、気象条件、立地条件等が悪い園地について、他の農作物への転換が困難であることから、やむを得ず廃園又は植林を行わざるを得ない場合がある。
 廃園又は植林を行う場合には、当該園地からほとんど収益が期待できないことになること等を考慮し、うんしゅうみかん園地再編対策の円滑な推進を図るため、その助成金の額を他果樹又は果樹以外の農作物へ転換する場合の助成金の額より高くしたものである。

一の2について

 オレンジ及びオレンジ果汁の輸入自由化を迎えるという異例の状況の下で、かんきつ園地の転換を可及的速やかに実施するため、これまで助成対象としていなかった中晩かん園地の転換についても新たに助成対象とすることとしたものである。

一の3について

 うんしゅうみかん等から転換する農作物については、地域の自然的条件を考慮するとともに、需給動向を十分見極めつつ、産地形成に結びついた作物の導入とその定着が図られるよう指導しているところである。

一の4について

 御質問の助成金は、非課税とされる所得に該当しないので、事業所得等に係る収入金額として課税の対象となる。

一の5について

 各府県においては、農業団体、行政機関等で構成する園地再編対策本部等を設置するとともに、当該府県の実情に即した園地の再編の基本的考え方、園地再編対策の推進方法等を内容とする園地再編基本指針を定める等、かんきつ園地再編対策が円滑に推進されるよう適切に対応していると承知している。

二の1について

 農地等についての相続税及び贈与税の納税猶予の特例は、農業の特殊性を考慮し、農業経営の継続を可能とするため設けられた制度である。
 したがって、たとえ農業政策上の事情があるとはいえ、農業経営の全部又は一部を廃止し、廃園地又は林地として所有する者に対し、農業経営の継続を前提として適用されるこの特例を引き続き適用することについては、制度本来の趣旨に反するのみならず、農業経営を継続し特例の適用を受ける者及び農地を取得したが特例の適用を受けなかった者並びに特例の適用を受けることができない農地以外の土地を取得した者との間で、新たな相続税及び贈与税の課税上の不公平が生ずることになるので、措置を講じることは考えていない。
 なお、廃園後においても農業の再開ができるよう農地としての保全管理が行われていること等の条件を満たしている土地については、引き続き特例の適用が認められるよう取り扱うこととしたところである。

二の2について

 土地に対する固定資産税については、その課税の前提となる地目の区分は、賦課期日の現況によって決定されるので、現況が、農地から他の地目に変化した場合には、それを従前の地目によって取り扱うことはできない。
 なお、三大都市圏の特定市の市街化区域農地に対する固定資産税の課税の適正化措置における長期営農継続農地制度は、長期にわたり営農を継続する者に対する配慮の観点から行われているものであり、農地でなくなった土地に対し、引き続き当該制度が適用されるべきものではない。

二の3について

 農業者年金の被保険者は、廃園又は植林により耕作又は養畜の事業に供する農地等の面積が三十アール未満となった場合でも、その事業を継続するときは、当然には被保険者の資格を喪失することにはならない。

二の4について

 かんきつ園地再編対策における転換等実施計画に基づき土地改良事業の受益地に植林を行う場合には、植林を行った受益地に係る当該土地改良事業の国の補助金についてはその返還を要しないこととしたところである。また、農地の転用を伴わない廃園の場合には、国の補助金の返還措置の対象とはならない。
 土地改良事業の負担金等の免除については、かんきつ園地再編対策による廃園や植林の場合であっても困難である。負担金等の支払が困難な場合については、土地改良事業償還円滑化特別対策事業、償還円滑化資金制度等の活用を図ってまいりたい。

三の1について

 うんしゅうみかん園地再編対策は、農業者・農業団体の自主的な取組みを基礎に推進するものであることから、うんしゅうみかん園地の府県別転換等目標面積の配分は、農業団体等で構成される全国果実生産出荷安定協議会が需給動向を考慮しつつ適地適産の考え方を基本に定めたものである。

三の2について

 国民のし好に合った良質果実の生産と生産性の高い果樹園経営の実現により国際競争にも耐え得る足腰の強い産地が育成されることを期待しつつ、所要の指導を行っているところである。