質問主意書

第114回国会(常会)

質問主意書


質問第一九号

沖縄近海における米国の水爆水没事故に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成元年六月二日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   沖縄近海における米国の水爆水没事故に関する質問主意書

 千九百六十五年十二月五日、沖縄近海において、米国の空母タイコンデロガから水爆一個が海底に落下して、いまだに回収されていないという事故に関する報道については、日米両政府ともその事実の存在を認めている。
 この事故に関しては、沖縄県民を始め、広く国民に深刻な衝撃と不安を巻き起こしている。
 私も去る五月十七日の参議院予算委員会において、本件に関し、政府に対して質疑を行ったところである。なお、沖縄県議会においても、去る五月二十二日、与野党の全会一致をもって、「沖縄近海における米海軍水爆機の水没事故に関する意見書」と抗議決議を採択し、政府関係機関等に要請したことは御承知のとおりである。
 そこで、本件に関する国民の不安と危惧を解消するための対策等について、政府に対し以下の点を質問する。

一 本件水爆の正確な水没位置はどこかを、直近の島及び沖縄本島からの距離と共に明らかにされたい。

二 本件事故の発生時及び現在の状況について、事実の概要を明らかにされたい。

三 現在及び将来にわたって、本件水爆の爆発の危険はないのか。ないとすれば、その理由を明らかにされたい。

四 本件水爆による放射能汚染の危険性についてはどうか。その有無を理由を明示して明らかにされたい。

五 米空母タイコンデロガは、本件事故発生の二日後に横須賀に入港したと言われているが、その際、我が国の国是である非核三原則は、米側によって遵守されたと政府は考えるのか。然りとすれば、その理由を明らかにされたい。

六 本件事故の発生年月日は、千九百六十五年十二月五日とされているが、その時点で、政府は米国から本件事故発生に関する何らかの通報を受けたのか否かを明らかにされたい。
 かつ、その際、何らの通報も受けなかったとすれば、本件事故の存在を政府が最初に知ったのはいつか。また、それは何によって知ったのか。

七 本件事故を含む核兵器事故について、米国は千九百八十一年に公表しているが、その際政府は、本件事故の詳細について、米国政府に照会をしたのか否かを明らかにされたい。
 また、照会したのであれば、その結果得られた事故の内容は、どのようなものであったのか、明らかにされたい。

八 政府は本件事故の存在を初めて知った時に、如何なる対応をしたのか、明らかにされたい。
 また、その時点で事故海域の調査をしたのか否かを明らかにされたい。
 調査しなかったとすれば、それは何故か、その理由を明らかにされたい。
 さらに、政府は、本件事故に関しては、国民に対して何も知らせなかったと思うが、それは何故か、その理由を明らかにされたい。

九 本件事故の発生後、現在に至るまで、本件事故の水爆が回収されていないのは何故か、その理由を明らかにされたい。
 また、今後回収予定はあるのか。その有無を理由を明示して明らかにされたい。

十 放射能汚染の危険の有無に関しては、政府はどのように認識しているのか。
 また、今後どのような安全対策を講じていくのか、明らかにされたい。

  右質問する。