質問主意書

第114回国会(常会)

質問主意書


質問第五号

元陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成元年三月十四日

菅野 久光   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   元陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金等に関する質問主意書

 元陸海軍従軍看護婦は、日中事変及び第二次大戦中に国直属の従軍看護婦として陸海軍病院に勤務をするとともに、緊急命令によって外地に派遣され、昼夜の別なく戦地衛生勤務を余儀なくされたのである。その結果、九死に一生を得て帰還した者が多くいる。
 政府は、昭和五十四年度から元日赤従軍看護婦に、二年後の昭和五十六年度から元陸海軍従軍看護婦にそれぞれ慰労給付金の支給を実施してきている。その間に昭和六十年度において物価上昇による実質価値の目減りを補うために平均十二・三%の増額措置を行い、さらに、平成元年度には慰労給付金の年額十一万円から同二十九万円の受給者にそれぞれ一万円、同三十一万円の受給者に二万円を年額として増額することとしている。ただし、元陸海軍従軍看護婦には二万円増額の受給者はいない状況である。
 しかし、兵に準ずることを内容として発足した慰労給付金制度の受給対象者の外地勤務年数計算は、兵と同じ扱いであっても、軍人恩給のように毎年増額されず、受給者の七十%が兵の四分の一弱という極めて低い給付水準となっている。
 さらに、元陸海軍従軍看護婦は、一説によると全国に約六千人がいるとのことであるが、そのうち昭和六十二年度の慰労給付金受給者は、わずかに千百十六名であって、その他は未受給者となっている。しかもこれらの未受給者は年々高齢化(昭和六十二年の受給者の平均年齢は六十八歳)しており、物故者も年々増加しているのが現状である。
 よって、以下の諸点について質問する。

一 政府は、元陸海軍従軍看護婦であった者で、現在、慰労給付金の未受給者の人数をどのように把握しているのか。

二 元陸海軍従軍看護婦及び元日赤従軍看護婦であって、戦地衛生勤務に従事した慰労給付金未受給者に対する処遇は、当然国の責務である。この処遇については、昭和六十三年度から実施されているシベリヤ抑留者への処遇に準じて、生存者及び死亡者を問わずすべての未受給者に書状と銀杯及び十万円の慰労金を給付すべきではないのか。

三 現在、給付水準の低い慰労給付金を実質的に軍人恩給の兵の給付に準じて、スライドさせるとともに、その法的位置づけを明確にさせるため、恩給法等の関係法律を速やかに改正すべきではないのか。

  右質問する。