質問主意書

第113回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三号

自衛隊・米軍の通信基地の電波障害対策等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十三年十月十一日

吉川 春子   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   自衛隊・米軍の通信基地の電波障害対策等に関する質問主意書

 全国に自衛隊の通信施設は百五十ヵ所以上あり、米軍が使用しているものを加えれば百七十ヵ所を超える通信施設がある。
 埼玉県入間郡大井町にある自衛隊大井通信所周辺の家庭では、テレビの画像が二重、三重になるいわゆるゴースト現象が起こつたり、雑音が入つたり、カラーが白黒になるなどの受信障害が発生している。住民の要求により行われたNHKの調査結果並びに私に対する説明によれば、受信障害の原因は、民家上空に高い密度により張り巡らされた自衛隊大井通信所所有のアンテナなどによるとのことである。
 この基地は、うつそうと木々に覆われ、中の様子も全く分からず、大きなドームの建設の際も、住民には何も知らせずに行つており、工事車輛の出入りが急に激しくなり、テレビの映りも悪くなつた。その時は何の工事をしているか分からずにいたが、秋になり、木々が落葉してから、ようやく住民は、大きなドームの存在を知ることになるなど、不安に感じている。
 また、愛知県刈谷市の米軍依佐美通信所でも相当広い地域に渡つてテレビの受信障害が発生し、政府は障害除去の対策を講じている。
 さらに、この他の地域にも、電波障害が発生している可能性は否定できない。そこで、電波障害に関連して以下質問する。

一 自衛隊大井通信所について

1 機能と役割は何か。
2 この基地に駐屯する部隊名と陸・海・空別の自衛隊員の数及び階級を明らかにされたい。
 また、自衛隊以外に勤務している人はいるのか。いる場合は、所属及び人数を明らかにされたい。
3 大井通信所基地内に大きなドームに包まれたアンテナと思われる建築物があるが、これは何か。
4 ロンビックアンテナが、基地外の民有地の上にも張り巡らされているが、地主の承諾は得ているか。また民有地上空に、アンテナを張り巡らせることのできる法的根拠は何か。
5 自衛隊大井通信所周辺住民のテレビ受信障害について、防衛庁も独自に調査を行つていると先日私に答えている。障害の発生時期、態様、どの施設が原因と考えられるか、その調査結果を明らかにされたい。

二 米軍依佐美通信所について

1 機能と役割は何か。
2 この基地を運用している米軍部隊名と隊員数を明らかにされたい。
3 どのような電波障害がいつから生じているのか。
4 これに対し、どのような対策を講じているのか。対象地域、戸数、それに要する費用及び公私の負担割合を明らかにされたい。

三 全国の通信基地と電波障害について

1 通信所の近くでは、必然的に、電波障害が生じると考えられる。全国で住宅密集地又は住宅地のそばにある通信所は何ヵ所か。その通信所の名称と当該自治体名を明らかにされたい。
2 依佐美通信所、大井通信所以外にも、電波障害が発生している可能性もある。政府は全国的に基地の電波障害の有無について、早急に調査を行い、結果を公表すべきであると思うがどうか。
3 基地機能の変更に伴い工事などを行う場合、事前に自治体や地域住民にその内容を知らせているのか。

四 米軍・自衛隊基地の存在は、日本の平和と国民の生活を脅かす以外の何ものでもない。わが党は全国の基地・施設の強化に反対し撤去を要求している。テレビの受信障害をなくす上でも、基地を撤去することが根本的な解決策であると思うがどうか。

  右質問する。