質問主意書

第112回国会(常会)

質問主意書


質問第四号

「勅令貸付国有林野」の貸付経緯等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十三年二月二十五日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   「勅令貸付国有林野」の貸付経緯等に関する質問主意書

 明治四十二年勅令第三二号により、沖縄県に対して無償で貸付された国有林野(以下、「勅令貸付国有林野」という。)の貸付期限が昭和六十四年五月で満了する。
 地元沖縄県では、勅令による無償貸付関係が成立した歴史的背景と経緯並びに第二次世界大戦の沖縄戦による焼失及び戦中戦後の過伐等によつて荒廃した沖縄県民有林事業の振興の拠点としたいとの観点から、関係機関に対して、無償譲渡の要請をたびたび行つているところである。
 よつて以下、「勅令貸付国有林野」の沖縄県への貸付の経緯等に関して質問する。

一 「勅令貸付国有林野」の対象地域(約四千四百四十ヘクタール)は、旧琉球王朝時代には、王府と地元住民が共同で管理・利用した杣山(木を植え付け育て、材木をとる山)の一部であつたといわれるが、そのような事実があるか。

二 「勅令貸付国有林野」の対象地域は、明治十二年に沖縄県令の管理下に移つたが、その経営は引き続き旧慣習に従つて行われたといわれるが、事実か。

三 「勅令貸付国有林野」の対象地域は、明治三十二年、沖縄県土地整理法の施行により国有林に編入されたが、旧琉球王朝時代に王府と地元住民が共同で管理・利用し、その後も旧慣習に従つてその経営が行われたといわれる杣山が、どういう基準で官有林と民有林に区分されたのか、明らかにされたい。
 また、その基準は、明治初期に他府県で実施されたように、あらかじめ公示され地元民への周知が図られたのか。

四 本土の都道府県には国有林を県が無償で借り受けて経営する形態があるのかどうか、明らかにされたい。

五 「勅令貸付国有林野」の対象地域が、明治三十二年に沖縄県土地整理法の施行により国有林に編入されたにもかかわらず、十年経過した明治四十二年に至つて、「……沖縄県地方費ヲ以テ経営シタル国有林ハ府県制施行ノ際ニ限リ貸付料ヲ徴収セスシテ之ヲ沖縄県ニ貸付スル……」(同年勅令第三二号)とされ、国との間に八十年という長期の無償による貸付関係が成立したが、この間の事情及び背景を、政府は現在どのように理解し、認識しているのか伺いたい。

  右質問する。