質問主意書

第111回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

わが国の米軍飛行場周辺における爆音軽減措置に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十二年十二月八日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   わが国の米軍飛行場周辺における爆音軽減措置に関する再質問主意書

 第百十回国会における私の質問に対する政府の答弁(内閣参質一一〇第五号)には不十分な点があるので、以下再質問する。

一 答弁書の「一について」で述べている厚木海軍飛行場及び横田飛行場周辺地域に及ぶ騒音の軽減を図るための措置として、日米合同委員会において、日米両政府間で合意された次の制限や規制等の諸点について、もつと具体的かつ詳細に説明されたい。

(1) 飛行活動に関する制限
(2) アフターバーナーの使用規制
(3) 飛行方法の規制
(4) 飛行高度の規制
(5) ジェットエンジン試運転の制限
(6) 消音装置の設置
(7) 操縦士の教育

二 答弁書の「二から四までについて」の中で、政府は、わが国が米国に提供している飛行場のうち、厚木、横田以外の三沢、岩国、嘉手納の各飛行場等については、「騒音の軽減を図るための措置に関する日米合同委員会合意は存在しないが、」米軍は、「厚木海軍飛行場及び横田飛行場におけると同様に」、「騒音の軽減についてできる限りの措置を講じているものと承知している。」と述べている。

1 なぜ、三沢、岩国、嘉手納の三飛行場については、「騒音の軽減を図るための措置に関する日米合同委員会合意」の形式をとらないのか、その理由を明確に示されたい。
 また、なぜ、これらの三飛行場については、厚木、横田の二飛行場と区別した扱いをしているのか。「各々の飛行場に係る運用上の所要」などという抽象的な文言ではなく、具体的かつ個別的にその理由を示されたい。
2 政府は、三沢、岩国、嘉手納の各飛行場については、米軍まかせで、主体性を欠き、単に、米軍は厚木、横田におけると同様に、「騒音の軽減についてできる限りの措置を講じているものと承知している。」とまるで他人事のようなことを言つている。
 では、これら三飛行場において米軍がとつている騒音軽減措置について、次の各項目ごとに、どのように規制されているのか、詳細に説明されたい。

(1) 飛行活動に関する制限
(2) アフターバーナーの使用規制
(3) 飛行方法の規制
(4) 飛行高度の規制
(5) ジェットエンジン試運転の制限
(6) 消音装置の設置
(7) 操縦士の教育

三 答弁書の「五について」で述べられているように、「嘉手納飛行場周辺上空での曲技飛行は米軍の自主的規制」に委ねているだけで、こと足りると政府は考えているのか。この点に関する政府の見解を示されたい。
 また、「米軍は昭和五十九年度以降、(中略)嘉手納飛行場において急上昇、急降下等を伴う飛行訓練を行つていると承知している。」と述べているが、この訓練については、時間、場所、方法等に何らの制限もなく、全く米軍のなすがままの訓練を許容しているのか、その諾否を明らかにされたい。
 また、私は、この訓練については、周辺地域住民に及ぶ騒音の軽減及び安全確保の観点から必要な制限をすべきであると考えるが、政府にその用意はあるのか、見解を明らかにされたい。

四 去る十月七日、嘉手納飛行場において実施された米空軍サンダーバーズ飛行隊の展示飛行に関する政府の答弁には、全く理解に苦しむという域を越えて、憤りさえ覚えるものである。
 政府の答弁は、「米軍は同飛行の実施に際しては、その安全性と周辺住民への影響に十分に配慮したものと考える。」と述べている。しかし、当日、地元嘉手納町では、一〇七ホンに達する騒音を記録しているのである。これが、周辺住民への影響に十分に配慮した結果なのか。政府答弁は、現地住民の生の声、心の叫びを十分に実感したものとは、到底考えられない。同時に、十月六日の沖縄県議会による全会一致の「嘉手納飛行場周辺地域上空における曲技飛行禁止に関する決議」に一顧だに与えていない答弁だと言わざるを得ない。政府は、本問題に関しては、沖縄県民の切実な要望よりは、むしろ米軍の行為により理解を示していると言わざるを得ない。一体、どこの国の政府なのかと言いたい。政府が、沖縄県民の立場に立つて、沖縄県民の声に耳を傾ける心があるならば、この様な無理解な言動は慎んでもらいたい。独善的な親善感覚で望まぬことを強要するところに真の「友好信頼関係の増進」は断じてあり得ないことを日米両政府とも知るべきである。
 本問題は、過ぎたことのように見えるが、今後も同様なことがあり得るので、次の点の確認を含めて政府の見解を伺いたい。
 すなわち、確認したい点とは、去る十月七日に、嘉手納飛行場において実施された米空軍サンダーバーズ飛行隊の展示飛行(曲技飛行)のごときは、前記の日米合同委員会合意との関連において、厚木海軍飛行場及び横田飛行場においても実施可能か否かである。

  右質問する。