質問主意書

第110回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質一一〇第六号

  昭和六十二年十一月二十四日

内閣総理大臣 竹下 登   


       参議院議長 藤田 正明 殿

参議院議員下田京子君提出治山事業における用地・立木等の補償に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員下田京子君提出治山事業における用地・立木等の補償に関する質問に対する答弁書

一及び二の1について

 林地について生ずべき損失は、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第四十五条第二項の規定に基づく補償の対象となり得るものであり、御指摘の民有林直轄治山事業等損失補償取扱要綱第三条の規定は、これを補償の対象から除く趣旨ではない。
 なお、具体的に補償の対象となる通常生ずべき損失の有無及び範囲は個別事例に応じて判断されるため、一概に砂防事業との比較はできない。

二の2について

 治山事業は、水源かん養、土砂の流出又は崩壊の防備等の目的を達成するため行う森林の造成事業又は森林の造成若しくは維持に必要な事業であり、一方、砂防事業は、治水上砂防のため、土砂の生産を抑制し流送土砂を防止調整するに必要な事業であつて、両事業は、その目的及び範囲を異にしている。
 このような相違点を踏まえ、両事業を区分し、両事業の調整をとりつつ、その円滑な実施を図つているところである。

三の1について

 福島県は、鮫川村における治山工事のため伐採し又は埋没する立木については、山林火災による被害木であることから、治山工事の実施により通常生ずべき損失はないと判断したと承知している。
 一方、塙町における治山工事のため伐採し又は埋没する立木については、損失補償の対象となると考えられるので、現在、福島県が必要な調査を進めているところである。

三の2について

 本件については、事業の円滑な実施を図るため鮫川村がダム用地を先行取得したものであり、福島県は事業費を支出しておらず、森林法第四十六条第二項に基づく国の補助の対象とはならない。

三の3について

 国の補助金等については、昭和六十三年度までの臨時特例として、昭和六十一年度においては事務事業の見直しに努めながら補助率の総合的見直しを行い、昭和六十二年度においては厳しい経済環境の下で財政再建の路線を堅持しつつ公共事業の事業費を確保するため公共事業に係る負担又は補助の割合の引下げを行つたところである。
 臨時特例の終了後における国の負担又は補助の割合の取扱いについては、これまでの経緯やこれまで講じてきた措置の性格を踏まえ、今後の諸情勢の推移、国及び地方の財源配分及び役割分担の在り方等を勘案しながら、その時点において適切に対処してまいりたい。