質問主意書

第110回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五号

わが国の米軍飛行場周辺における爆音軽減措置に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十二年十一月九日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   わが国の米軍飛行場周辺における爆音軽減措置に関する質問主意書

一 米軍の厚木(神奈川県)及び横田(東京都)飛行場については、「厚木飛行場周辺の飛行機の騒音の軽減措置」及び「横田飛行場における航空機騒音の軽減措置」という米軍機の爆音を規制する日米両政府間の協定が締結されているという。そこで、両協定について次の点を明らかにされたい。

(1) 締結年月日
(2) 当事者
(3) 目的
(4) 内容の骨子
(5) 効果
(6) 違反の有無

二 右の二飛行場以外のわが国に存在するすべての米軍飛行場について、前二者と同趣旨の協定が存在するか否かを明らかにし、もし存在しない場合には、その理由と、締約の必要性の有無を明らかにされたい。

三 沖縄県所在の米軍嘉手納飛行場については、前記のような協定が存在しない。厚木、横田に劣らず米軍機の爆音に連日連夜悩まされている周辺住民等が国に対して嘉手納基地爆音訴訟を提起(昭和五十七年二月二十六日)していることは、政府も当然承知のことと思う。それにもかかわらず、前記のような協定が締結されていないということは、沖縄県民を差別するものであり、同一条件下の国民に不平等を強いる反憲法的な政府の怠慢と言わざるを得ない。このように、厚木、横田、嘉手納の間に存在する政府の対応の差異について見解を示されたい。

四 政府は、近々のうちに、米軍嘉手納飛行場の米軍機の騒音を規制する日米間の協定を締結する意思はあるのか。あるとすれば、その時期を明示されたい。また、もしその意思がないとすればその理由を沖縄県民が納得できるように説明されたい。

五 防衛施設庁那覇防衛施設局、沖縄県及び沖縄駐留米軍の三者で構成する三者連絡協議会(以下「三者協」という。)なるものがある。この三者協において、昭和五十四年十月に「嘉手納飛行場周辺上空での空中戦闘訓練および曲技飛行を禁止することを合意している」とのことである。そこで、この合意について、以下の諸点を明らかにされたい。

(1) この合意の存在は事実か。
(2) この合意にもかかわらず、米軍は週一回以上の割合で、同飛行場周辺で曲技飛行を繰り返していると言われるが、政府はそのことを承知しているか。
(3) (2)において述べたことが事実であるとすれば、前記の合意を実効あらしめるために、政府は米軍に対して具体的にどのような措置をとつたか、明らかにされたい。
(4) 政府の機関も参画して形成した合意が、米軍によつてじゆうりんされているにもかかわらず政府によつて何らの対応もなされていないとすれば、ゆゆしいことであり、三者協の有名無実化、形骸化という以上に、政府の責任は重大である。その点についてどう考えるのか、明らかにされたい。

六 米空軍の曲技飛行隊「サンダーバーズ」が去る十月七日、嘉手納飛行場周辺上空でアクロバット飛行を強行実施した。
 沖縄県民はもちろん、沖縄県議会においても、前日の十月六日に与野党全会一致で「嘉手納飛行場周辺地域上空における曲技飛行禁止に関する意見書・決議」を採択して、同飛行隊の曲技飛行の中止を要請したにもかかわらず、「親善飛行」の名目で強行され、同飛行場周辺で最高一〇七ホンの騒音と墜落の恐怖をまき散らして実施された。この種の曲技飛行は、厚木、横田においては前記協定との関係で禁止されているものであるが、沖縄県嘉手納においては、県民、県議会の反対の声を無視して「親善」の押し売りをしたものであり、とんだ考え違いと言わざるを得ない。政府はこの点に関して、どう考えるのか。また日・米親善の真のパートナーシップとはどうあるべきか、見解を示されたい。

  右質問する。