質問主意書

第109回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三号

地価対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十二年九月十八日

黒柳 明   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   地価対策に関する質問主意書

 東京をはじめとする大都市地域での地価の異常な高騰は種々の歪みを発生させ、深刻な社会問題となつており、地価の安定は緊急の政治課題となつている。以下政府の地価対策について若干質問する。

一 中曽根総理は、土地に対する私権の制限にまで踏み込まざるを得ない旨、発言されているが、総理が言われている私権の制限とは具体的にどのようなことか。

二 中曽根総理は、先般の全国知事会議の席上、「情勢によつては、許可制を実施してもらう方が適切な事態が出ている」と発言され、国土利用計画法第十二条の規制区域の指定と同法第十四条による土地取引の許可制の実施に前向きの姿勢を示されているが、関係知事に対して規制区域の指定と土地取引の許可制の実施を具体的に指導されていく用意があるか。

三 国土利用計画法の規制区域の指定及び土地取引の許可制については、同法施行以来一度も発動されていない。その間に地価が急激に上昇し該当する場所も多かつたと思われるが、関係知事は、なぜ規制区域の指定に踏み切れなかつたのか。また、同法第十三条による内閣総理大臣の指示をなぜ行わなかつたのか。

四 中曽根総理は、土地取引の許可制を実施する必要があるとの認識を示されているが、実施を担当する関係都道府県の執行体制は整備されているのか。また、実施に要する経費等について国が助成する用意があるのか。

五 中曽根総理は、先般の全国知事会議の席上、地価高騰の要因となつた旧国鉄用地の処分問題について、地方自治体に優先して随意契約で払い下げる意向を表明されているが、日本国有鉄道清算事業団法では、一般競争入札によることが原則となつている。具体的にどの程度地方自治体に対する優先払下げが実施されることになるのか。また、その場合の払下げ価格はどのような方式で算定されることになるのか具体的に示されたい。

六 国公有地の払下げについては、国土利用計画法による監視区域に指定されている区域内の、同区域の指定が解除されるまでの間、停止すべきであると思うがどうか。

七 地価の安定に資するための地価公示法は、土地の取引価格の指標としての役割を果たしていない。この際地価公示制度を抜本的に見直すとともに、相続税等の基礎となる最高路線価格による土地の評価額、固定資産税の評価額等を統一し、土地に対する公的な評価制度を統一することが、地価対策の出発点と考えるが、土地の評価制度を一元化する用意があるのか。

八 政府部内に遷都問題を検討する関係閣僚会議を設置し、内閣全体として遷都問題に取り組む用意があるのか。

  右質問する。