質問主意書

第109回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

不要電磁波の障害対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十二年七月九日

木本 平八郎   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   不要電磁波の障害対策に関する質問主意書

 社会のエレクトロニクス化に伴つて電子機器から発する電磁波(不要電波、漏えい電磁波)による他の機器への障害、又その電子機器に侵入する外部異常電磁波による障害等が社会的に憂慮される様になつてきた。
 例えば、工場等においてクレーンの発する不要電磁波が近くにある電子制御システムの旋盤等を誤作動させたり、ゲーム機の発する不要電磁波が列車、無線に異常を起こし、中には人身事故に至るおそれのある事態も誘発している。
 これらの現象は、過去の重化学工業を中心とする高度成長時代の鉄鋼、化学工業等の発展による大気、水質の汚染や自動車、航空機によるスモッグ、騒音公害のごとく、技術、社会の進歩に伴う新しい公害問題としてクローズアップしてきている。
 また昨今、新聞紙上をにぎわしている超電導材料は電気抵抗がゼロになり不要電磁波も低減するといわれているが、開発が進めば思いもかけない電磁波の障害、磁気障害が起こらないとも限らない。
 電磁波障害の発生源の規制については、米国では連邦通信委員会の規格、西独では郵電省電気通信中央技術局及びドイツ電気技術者協会の規格が既に法制化され許容値以内の装置のみ販売が許されており、世界的にも国際無線障害特別委員会の勧告の下に統一の規制化への道を採りつつある。我が国でも電波法、電気用品取締法等による規制のほか、各業界で自主規制の形で、これに対応しようとしている。しかし、これらは無線設備に対する障害の規制や個々の工業製品ごとの規制であり、不要電磁波一般を規制したものではない。
 世界一のエレクトロニクス大国として、本来世界に先駆けて不要電磁波対策を行うべき我が国が、西独、米国の法制化の現状に対して自主規制の程度でよいものかどうか、疑問がある。
 仄聞するところでは、規制化の遅れは通産・郵政両省の調整がつかないところに起因するともいわれているが、国内での事故防止はもとより、一つ間違えば電磁波公害の輸出にもなりかねない現状にかんがみ、今後の対応をどのように進めて行く考えなのか。以下の諸点につき、政府の見解を伺いたい。

一 電磁波障害の規制を政府はどのように考えているのか。

二 また規制の世界的現状と日本の在り方をどのように考えているのか。

三 超電導による新たな電磁波障害、磁気障害に対し、政府としてどのように研究し、対処するか。

四 超電導応用の核磁気共鳴映像法(MRI)(既に商品化)及びリニア・モーター応用の物流システム、簡易交通機関等、不特定多数の人の接遇するおそれのあるものの安全規制にはどのように対処するのか。

五 ブラウン管(CRT)等の電磁波、静電気障害の問題はどのように考えているか。また、この種の電磁波公害の問題は、ただ単にその発生源の規制を考えるだけでなく、エレクトロニクス機器側の電磁波防除のための対策を樹立する必要がある。そのためには、障害防除に有効かつ安価な素材の研究開発等が必要であるが、このような防除に関する技術の研究、開発のすべてを民間企業に依存することは困難と思われるので、政府機関の研究所で早期成果を求めて大々的、かつ本格的に取り組むべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。

  右質問する。