質問主意書

第108回国会(常会)

質問主意書


質問第二二号

養殖業に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十二年五月二十七日

鶴岡 洋   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   養殖業に関する質問主意書

 養殖の歴史は、魚病との戦いの歴史といわれている。養殖業の草創期(昭和三十年頃)には、魚病研究により、被害はほとんどなかつた。
 しかし最近は海の汚染等により多くの魚病がでており、養殖業者は大きな被害を被つている。
 また近年、テレビその他の報道により、消費者に多くの混乱が生じている。
 以上の現状を踏まえて、次の諸点について、質問する。

一 昭和六十一年版漁業白書に養殖魚の実態として、魚病の報告がされているが、被害について、どの様に掌握しているのか。

二 魚病の診断及び治療について、公的機関の検査体制の現状を示されたい。

三 国民の健康をあずかる厚生大臣として、養殖魚の実態をみて薬事法第八十三条の二第三項により、公衆衛生の見地から農林水産大臣に意見を述べる必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。また、過去に意見を述べた例があれば説明されたい。

四 同じ成分の薬が家畜など動物用の場合は、要指示薬として獣医師の処方箋を必要とするのに対し、水産用と名づけられると自由に投与できるが、魚類に対する薬品には、なぜ要指示薬制度を導入しないのか。

五 トリブチルすずオキサイド(TBTO)については現在、藻、貝類等の付着を防ぐため、船底塗料、魚網防汚剤等に使用されているが、この毒性についての政府見解を示されたい。

六 全国漁業協同組合連合会は、昭和六十年二月にTBTOの使用規制基準をつくり、魚網への使用は年一回に限定し、さらに本年五月からは、TBTOは一切使用しないこととした。TBTOは「今世紀最大の傑作品」とまでいわれて藻や貝類の付着防止に効果をあげてきたが、このTBTOに代わる付着防止剤等の研究開発促進策を示されたい。また、TBTOの使用基準作成につき政府の見解を示されたい。

七 今後の養殖業の健全なる経営発展及び漁業の活性化のためには、養殖業の実態調査を踏まえ国民の納得のできる体制の充実、安全性を図るべきであると思うが政府の見解を求める。

  右質問する。