第108回国会(常会)
質問第一七号
高度科学技術の発達に伴い惹起する著作物保護・利用制度の確立に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和六十二年五月一日 田代 富士男
高度科学技術の発達に伴い惹起する著作物保護・利用制度の確立に関する質問主意書 今日の科学技術の発達は誠に目覚ましいものがある。殊にコンピューター、光通信、新素材、バイオテクノロジーなどの高度先端技術の発達は、コンピューター・ソフトウェア、ニューメディア、半導体チップ、コンピューター・グラフィックス、シンセサイザーなどの新しい創作物を世に送り出すとともに、従来の著作物についても高度な複製方法の開発など新しい利用形態を生むに至つている。その結果、著作権をめぐる各種の紛争が多発している。
一 コンピューター・プログラムの利用価値の寿命は、比較的短いにもかかわらず、紛争処理に当たつては長い時間を要するのが実情である。もつと迅速な対応が必要であると思うが、この問題について何か解決策を検討しているか。例えば、調停や仲裁等による早期の処理制度を設ける考えはないか。 二 私的録音・録画から権利者を守るため、録音録画の機器、機材に対する賦課金制度の導入の是非などについて『著作権問題に関する懇談会』は結論を出すには至らなかつた。その理由は何か。なお、著作権審議会で審議させるというが、いつごろまでに結論を出すつもりか。 三 今春我が国で、国際レコード・ビデオ製作者連盟(IFPI)などが要求するコピー防止装置を付けていないDAT(デジタル・オーディオ・テープレコーダー)が発売されたことにより、著作権関係団体や関係各国から批判の声が高まつている。今後権利者等との合意を得るために、どのような対応を図つていくつもりか。 四 文化の創造と発展のためには、著作権思想の普及こそ最も必要と考える。そこで、義務教育段階からの著作権についての指導をもつと徹底していくべきと考えるがどうか。
五 近年、従来の著作権、特許権などではカバーしきれない問題が発生するとともに、知的所有権に関する国際ルール作りが大きな課題となるに至つており、これに適切に対応することが急務であるが、今後どう対処するつもりか。 右質問する。 |