第107回国会(臨時会)
答弁書第九号
内閣参質一〇七第九号 昭和六十一年十一月二十八日 内閣総理大臣 中曽根 康弘
参議院議員志苫裕君提出昭和六一年版防衛白書に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員志苫裕君提出昭和六一年版防衛白書に関する質問に対する答弁書 一について (1) 御指摘のいわゆる防衛白書の扱いについては、閣議に配布し、説明の上、了承されたものである。
二について 脅威は、侵略し得る「能力」と侵略しようとする「意図」が結びついて顕在化するものであるが、意図というものは変化するものであり、我が国の防衛を考える場合には、我が国周辺における軍事能力について配慮する必要があると考えている。
三及び十二について 御指摘の部分は、一般的に使用されている趣旨で記述したものであり、特に厳密な定義をし、又は特定の対象に限定して用いているわけではない。 四について 1 軍用機の飛行回数については、往復飛行であるか否かを問わず一度の継続した飛行と判断される場合には、これを一回と数え、艦艇の通峡隻数については、各海峡を一方向へ通り抜けた艦艇の隻数を数えたものである。
五について 最近ソ連軍艦艇のダナンヘの寄港が著しく減少したとみられるため削除したものである。 六について Security Council of Japan と訳している。 七について 御指摘の昭和五十一年当時の考え方は、現在も変わつていない。 八について 御指摘の記述は、従来の政府の見解(昭和五十五年十月二十八日内閣衆質九三第六号答弁書及び昭和六十年九月二十七日内閣衆質一〇二第四七号答弁書参照)に従つたものであり、それ以上の意味はない。 九について 今回の防衛白書で御指摘のような構成をとつたのは、「日米防衛協力のための指針」(以下「指針」という。)が日米間の防衛協力の在り方を示すものであることから、「日米安全保障条約」に続けて記述することにより理解が容易になると考えたためである。 十について 「指針」については、昭和五十三年十一月二十八日の閣議において、外務大臣及び防衛庁長官から報告され、了承されたものであることは、従来から明らかにしているとおりである。 十一について 御指摘の記述については、両防衛白書とも同様の趣旨を述べたものである。 十三について 御指摘の記述は、予備自衛官の員数の確保のほか、その処遇の改善や装備品の整備等が必要であることを念頭に置いたものである。 十四について 我が国の予備自衛官制度は、主要各国に比して、その規模そのもののほか、現役との比率においても著しい隔たりがあるものと考えている。 十五について 昭和五十五年以降において「地下化」に着手した施設は、指揮中枢施設及び通信中枢施設である。 十六及び十七について 中央指揮所と主要部隊等との間のそれぞれの具体的通信手段等について、防衛白書に記述されていること以上に答弁することは、事柄の性質上差し控えたい。
十八について 安全保障会議設置法(昭和六十一年法律第七十一号)にいう「重大緊急事態」が「その他全庁的な対処を必要とする緊急事態」に当たる場合もあり得ると考えている。 十九について 秋田県である。 二十について 有事法制の研究の「所管省庁が明確でない事項」については、政府全体の問題として取り扱われるべきものであり、防衛庁において行つている内部的検討の対象となつている事項について答弁することは適当でないと考える。 二十一について (1) 昭和六十年の自衛官俸給表の改定に関連して昭和六十一年度に階級変更を実施した官職は、次のとおりである。 ア 将職から将補職への変更 陸上幕僚監部教育訓練部長、東北方面総監部幕僚長、東部方面総監部幕僚長、航空学校長、施設学校長、通信学校長、業務学校長、関西地区補給処長、自衛艦隊司令部幕僚長、開発指導隊群司令、海上自衛隊第三術科学校長、航空幕僚監部監察官、航空総隊司令部幕僚長、輸送航空団司令及び第二補給処長 イ 将補職から一佐職への変更 陸上幕僚監部人事部厚生課長、第一教育団長、第二教育団長、第三教育団長、中央資料隊長、会計監査隊長、海上幕僚監部技術部艦船課長、装備実験隊司令、中央通信隊群司令、航空幕僚監部防衛部施設課長、第十一飛行教育団司令、航空自衛隊幹部候補生学校副校長、自衛隊中央病院第一精神科部長、自衛隊中央病院整形外科部長及び調達実施本部名古屋支部岐阜調達管理事務所長 (2) 昭和六十二年度以降に階級変更を実施する官職については、具体的に申し述べる段階にない。 二十二について 米側から発言のあつた米空母艦載機の着陸訓練場の確保、池子における米軍家族住宅建設及び在日米軍駐留経費の負担を念頭に置いたものである。 二十三について 「在日米軍駐留経費の負担」は、在日米軍駐留経費の負担についての我が国に対する一般的な米側の期待について述べたものである。 二十四について 御指摘の「在日米軍駐留支援経費」は、防衛白書二百十九ページに記述されている経費を指すものであり、その昭和六十一年度歳出予算額は、(組織)防衛施設庁(項)施設運営等関連諸費及び(項)調達労務管理費のうちそれぞれ約六百二十七億円及び約百九十一億円である。 二十五について 御指摘の文書は、「機密」に区分されている。 二十六について 御指摘の研究は、「指針」に基づき実施しているものである。 二十七について インターオペラビリティ(相互運用性)について確立された定義があるわけではないが、一般には、戦術、装備、後方支援等に関し、共通性、両用性を確保することをいうものと理解している。 二十八について 御指摘の部分は、日米共同訓練を通じて平素から自衛隊と米軍との戦術面等における相互理解と意思疎通を促進することが、インターオペラビリティの向上につながるということを一般的な意味で記述したものである。 二十九について 1 米軍側の部隊については、嘉手納飛行場及び三沢飛行場である。
三十について 約七十回である。 三十一について 嘉手納飛行場に設置されている太平洋兵站センターについては、在日米軍機の修理、改修等の能力を有していることは承知しているが、政府としては、米軍の個々の部隊の任務についてその詳細を承知する立場にない。 三十二について 1 「ホスト・ネーション・サポート」とは、同盟国に駐留している外国の軍隊に対して受入国側が実施する駐留支援を指すために、一般的に使用されているものであると承知している。
三十三について 防衛庁から外国に留学している隊員は、別表三のとおりである。 三十四について 外国からの防衛庁の教育機関への留学生は、別表四のとおりである。 三十五について 昭和六十年度において実施した米国派遣訓練は、別表五のとおりである。 三十六について 昭和六十年度において陸上自衛隊が米軍との間に実施した隊付訓練及び隊付見学は、別表六のとおりである。 三十七について 御指摘の記述は諸外国における国の防衛のための国民の協力態勢を一般的に紹介したものであり、御指摘のようなことは考えていない。 三十八について 昭和六十年一月一日から昭和六十一年十月三十一日までの間に提供し、又は返還された日米地位協定第二条第四項(b)の適用のある施設及び区域の名称等は、別表七のとおりである。 三十九について 御指摘の水域四十二箇所の名称等は、別表八のとおりである。 四十について 今回の防衛白書においては、日米安全保障条約の締結時(昭和二十六年)からちようど三十五年を経過したことに着目して、「三十五年」との表現を用いたものである。 四十一について 昭和六十年度における自衛官等の採用者数のうち、高校新卒者の人数は、別表九のとおりである。 四十二について 昭和六十年度中に受け入れた外国人の受託教育実績は、別表十のとおりである。 |