第107回国会(臨時会)
答弁書第三号
内閣参質一〇七第三号 昭和六十一年十月二十一日 内閣総理大臣 中曽根 康弘
参議院議員吉岡吉典君提出国営中海干拓事業の助言者会議見解に対する農林水産省の意見書に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員吉岡吉典君提出国営中海干拓事業の助言者会議見解に対する農林水産省の意見書に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の助言者会議見解については、従来から関係県を通じて聴いているところであり、今回関係県に対して回答した「助言者会議見解に対する意見について」(以下「意見書」という。)は、こうした助言者会議見解を踏まえ、農林水産省が調査研究を委託した「宍道湖・中海淡水湖化に伴う水管理及び生態系変化に関する研究委員会」とも十分協議し、農林水産省としての見解を述べたものである。
二の1について 「宍道湖中海淡水湖化に関連する水理水質及び生態の挙動について(中間報告)」(以下「中間報告」という。)において水質解析シミュレーションに用いた生態系モデルによる手法は、現時点における水質予測の一般的な手法であり、実用レベルで十分評価できると考えている。 二の2について 中間報告によれば、宍道湖・中海の淡水化に際しては、中浦水門を適切に操作することにより、宍道湖については大橋川からの逆流がなくなるため流入負荷量が減少し、また、中海については塩分躍層の消失によりリンの溶出が減少する等の好影響もあると予測されている。
二の3について 渇水年の水質予測は、時期別、水域別に全層平均値で解析を行つており、その結果については、既に関係県を通じて公表しているところである。 二の4について 意見書は、中間報告において述べられている微弱密度流の水質浄化効果を前提として、その定量的分析を実証的に淡水化試行期間中に行うべきである旨を述べたものである。 二の5について 海水によるリンの持ち出し量の河川水によるリンの持ち出し量に対する比率については、中間報告取りまとめ後更に検討が加えられ、実測地点を変更したところ二十八パーセントとの数値が得られ、また、水質解析シミュレーションを用いての計算では三十九パーセントとの数値が得られたとされている。
二の6について 基本的には富栄養化の程度によるが、塩分濃度が低下すれば、その量、規模等は別にして、部分的にアオコが発生する可能性もあると考えている。
二の7について 国営中海干拓事業の円滑な推進を図るに当たつては、今後とも、関係県等と連携を取りつつ、関係者の理解を得るよう努力してまいりたい。 二の8について 鳥類への影響の調査については、その必要性を含め、今後関係県等とも十分協議してまいりたい。 |