質問主意書

第107回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

コメの安定供給と食糧管理制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十一年九月二十六日

木本 平八郎   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   コメの安定供給と食糧管理制度に関する質問主意書

 九月十七日の参議院本会議での対馬孝且議員の質疑に対する答弁で、加藤農林水産大臣は、食糧管理制度の消費者に対するメリットとして主食たるコメの安定供給を挙げたが、現在のようなコメの恒常的な生産過剰(減反実施)の米作環境において、なぜ安定供給に食糧管理制度の存在が必要なのか。仮に食糧管理制度があつた方がベターであるにしても、国際水準の十倍も高い消費者米価という犠牲を払つてまで食糧管理制度という方法を採る理由は何か。
 食糧の安定供給は、世界各国、全民族にとつて不可欠、最大の命題だが、西欧先進国では食糧の流通を統制せず、完全に自由化して食糧の安定供給に不安を持つていないのに、日本だけがなぜ食糧管理制度を必要とするか。
 政府は、常々食糧管理法存続の理由付けとして、昭和四十八年の狂乱物価時の物不足や戦争等非常時における食糧安定供給を掲げるが、この問題について以下、具体的に質問する。

一 昨今の米作状況ではコメに関する限り生産供給には問題がないと考えるが、政府の見解を伺いたい。

二 (1) エネルギーと同様、コメも備蓄を大きくすれば狂乱物価時等の食糧不足に対応できるのではないか。将来考えられる非常事態は二、三年以上は続かないと考えるが、政府の見解はどうか。
  (2) 又、コメの貯蔵法もいろいろ開発され、品質維持、安価な備蓄も可能になつていると考えるが、仮に備蓄費が割高になつても、消費者にとつては現行のように国際価格の十倍も高い負担にならないのではないか。この点について政府の明確な答弁を求める。

三 (1) 現在の日本の穀物の自給率は何パーセントか。そのパーセンテージで非常事態時等における食糧確保にどう対処するつもりか。
  (2) 現在はコメの生産者価格が割高なため、他穀物を生産しても引き合わず、したがつて転作も進まず、休耕地ばかりが増え、穀物自給率がどんどん低下していると考えられる。他穀物の生産を促進し穀物全体の自給率を上げるには、まずコメの輸入を自由化して生産者価格を国際水準に引き下げるのが捷径と考えるが、政府の見解を示されたい。

四 (1) 食糧管理制度は、戦時中の生産確保と需給調整のために非常時体制として設けられたもので、現在は環境条件がすつかり変わり、立法当初の精神から完全に離れていると考えるがどうか。
  (2) 現在の食糧管理制度は生産者保護、農家の利益擁護のためにしか機能していないと考えられるので、消費者本位に改正すべきではないかと考えるが政府の見解を示されたい。

  右質問する。