質問主意書

第104回国会(常会)

答弁書


第百四回国会答弁書第五二号

内閣参質一〇四第五二号

  昭和六十一年六月二十四日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員田代富士男君提出「連年にわたる予算の空白」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員田代富士男君提出「連年にわたる予算の空白」に関する質問に対する答弁書

一について

 いわゆる予算の空白期間中に立替払が行われているのは、財団法人矯正協会による被収容者作業賞与金等についてのものであるが、これは、第三者弁済に相当する。
 なお、第三者弁済は、債務の性質がこれを許さないもの、当事者が反対の意思を表示したもの等については、できないこととされている。

二について

 国が被収容者作業賞与金等の支払を必要とする法令上の根拠は、次のとおりである。

図 表 1/2

図 表 2/2

三について

国が財団法人矯正協会に対して支払を行うのは、被収容者作業賞与金等についての立替払の結果、同協会が被収容者に代位するためである。

四について

 昭和六十一年度のいわゆる予算の空白期間中において支払等を必要とする経費については、それぞれ立替払、支払の延期等によつて対処しているが、科目別の対応措置及び予算成立後の事後処理については、次のとおりである。

 (注) 予算成立年月日

     昭和六十一年度 四月四日

(1) 被収容者作業賞与金等

 監獄法等に基づき支給される被収容者作業賞与金等については、第三者(財団法人矯正協会)による立替えで対処した。

 (注) 被収容者作業賞与金等の立替払の状況

年   度   立替払された額(千円)  歳出予算で補てん処理した時期
昭和六十一       一〇、三三〇   四月十日から十七日まで

(2) 供託金利子

 供託法に基づく供託金の利子の支払については、予算決算及び会計令により供託金(歳入歳出外現金)の繰替使用で対処した。

 (注) 供託金利子の繰替使用の状況

年   度   繰替使用した額(千円)  歳出予算で補てん処理した時期
昭和六十一        二、二九五   五月十九日から六月二十日まで

(3) 郵便貯金の支払利子、簡易生命保険等の還付金等

 郵便貯金法に基づく支払利子及び簡易生命保険法に基づく還付金等の支払については、予算決算及び会計令による郵政官署における現金の繰替使用で対処した。

 (注) 郵便貯金特別会計、簡易生命保険及郵便年金特別会計に係る繰替使用の状況

  (イ) 郵便貯金特別会計

年   度   繰替使用した額(千円)  歳出予算で補てん処理した時期
昭和六十一    一、二九六、三三二   五月三十一日

  (ロ) 簡易生命保険及郵便年金特別会計

年   度   繰替使用した額(千円)  歳出予算で補てん処理した時期
昭和六十一   四四、一一一、七〇三   四月三十日

(4) 失業給付金等

 雇用保険法等に基づき四週間に一回ごと指定された日に支給されることとなつており、前年度歳出予算の残を使用して支払い、予算成立後に年度更正、科目更正を行つて対処した。

 (注) 労働保険特別会計雇用勘定における失業給付金の対応措置状況

年   度   空白期間中に支払つた額(千円)  年度更正の処理を行つた時期
昭和六十一       一六、八八七、三一一   四月五日

(5) 生活保護費

 受給者への支払及び支払日の決定は、各都道府県等が行つており、毎月五日が大半を占めているが、その国庫負担分についての第一回目の交付決定は、五月八日に行つた。

(6) 証人及び参考人等の旅費

 刑事訴訟費用等に関する法律等に基づいて出頭する証人等の旅費については、予算成立後精算払した。

(7) 国選弁護人報酬

 刑事訴訟費用等に関する法律に基づく弁護人に支給する費用は、予算成立後に後払した。

(8) 資金運用部預託金利子

 資金運用部資金法に基づく利子の支払については、予算成立後に後払した。

(9) 立法事務費

 国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する規定により毎月一日に交付されることになつているが、両院議長決裁により、予算成立の日の翌日まで交付期日を延期した。

(10) 国会職員の給与費

 国会職員の給与等に関する規程等により毎月五日(ただし、五日が土曜日に当たるときは、その前日)に支給されることになつているが、両院の事務総長の決裁により、予算成立の日の翌日まで支給日を延期した。

(11) 参議院速記生徒手当

 国会職員の給料等の支給期日の延期の取扱いに準じて対処した。

(12) 食糧費(刑務所等被収容者、国立更生援護機関入所者、国立病院患者等)

 前年度からの持越食糧により対処した。

(13) 医薬品等購入費(国立学校、国立病院等)

 前年度からの持越医薬品等により対処した。

(14) 年金付のうち脱退手当金、死亡一時金等

 厚生年金保険法、国民年金法等に基づき支払われるいわゆる随時払分については、予算の空白期間中に裁定されたものがない。

(15) 司法修習生手当等

 司法修習生の給与に関する規則に基づき司法修習生としての修習を終えた際に支給される司法修習生手当等については、予算成立後に後払した。
 なお、恩給等(国会議員互助年金、文官等恩給費、遺族等年金等)については、年金恩給支給規則等により払渡開始日は四月六日となつており、また、地方交付税交付金(四月分の普通交付税)については、地方交付税法の規定により四月中に交付することとなつており、それぞれ予算の空白期間中の支出はなかつた。