質問主意書

第104回国会(常会)

答弁書


答弁書第四六号

内閣参質一〇四第四六号

  昭和六十一年五月二十三日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員木本平八郎君提出ペット公害及び野良犬、野良猫の避妊措置等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員木本平八郎君提出ペット公害及び野良犬、野良猫の避妊措置等に関する質問に対する答弁書

一について

 政府は、動物の保護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)に基づき、「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準」等飼養者が守るべき具体的な基準を定めるとともに、「動物愛護週間」を始め、あらゆる機会を通じて国民の間に動物愛護の精神の普及啓発を図つている。
 また、都道府県等においては、地方の実情に応じて、動物の飼養及び保管に関し、動物の飼養を制限する等具体的な規制措置を定めた条例を制定している。

二について

 総理府が行つた「動物による咬傷事故の実態調査」によれば、咬傷事故を起こした野犬の概数(全国計)は、次のとおりである。

  昭和五十五年度   千五百頭
  昭和五十六年度   千五百頭
  昭和五十七年度   千二百頭
  昭和五十八年度   千二百頭
  昭和五十九年度   千百頭

 なお、野良猫による被害及びペット飼養に関する苦情の数等については把握していない。

三について

 動物の保護及び管理に関する法律施行以後、都道府県等により引取りが行われた犬及び猫の概数(全国計)は、次のとおりである。

                (犬)          (猫)
  昭和四十九年度      五十六万頭        六万三千匹
  昭和五十年度       五十二万九千頭      六万八千匹
  昭和五十一年度      五十万三千頭       八万六千匹
  昭和五十二年度      五十万頭         九万九千匹
  昭和五十三年度      四十九万二千頭      十万九千匹
  昭和五十四年度      五十一万二千頭      十二万二千匹
  昭和五十五年度      五十三万二千頭      十六万五千匹
  昭和五十六年度      四十九万頭        十八万七千匹
  昭和五十七年度      五十二万六千頭      二十一万一千匹
  昭和五十八年度      五十三万三千頭      二十四万匹
  昭和五十九年度      五十四万五千頭      二十六万匹

 また、引取りが行われた犬及び猫については、飼養希望者等に譲渡するよう努めている。譲渡されなかつた犬及び猫は、安楽死処分されている。
 なお、最近、犬及び猫の引取り要請が増加しているが、これは、犬及び猫の飼養者が増加しており、加えて同法に基づく引取り制度が周知徹底されてきていること等によるものと考えられる。

四について

(1) 社団法人日本獣医師会の調査によると、東京・横浜地区における犬及び猫の不妊手術の料金は、犬の雄については、上限は二万円程度、下限は一万二千円程度、犬の雌については、上限は三万五千円程度、下限は二万円程度となつており、猫の雄については、上限は一万五千円程度、下限は一万円程度、猫の雌については、上限は二万五千円程度、下限は一万五千円程度となつている。
(2)及び(3) 料金に幅があるのは、犬及び猫の種類、大きさ、疾病の既往歴等によつて手術の難易度に差が生ずること等によるものであり、標準的な料金を設定することは困難である。

五について

(1) 犬又は猫の避妊薬を製造し、又は輸入しようとする者は、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)の規定に基づき農林水産大臣の承認を受けなければならないが、現在のところその承認の申請は、なされていない。
 なお、外国においては、犬又は猫の避妊薬として認められている動物用医薬品がある。
(2)及び(3) 犬又は猫の避妊を目的とした動物用医薬品の製造又は輸入の承認申請があれば、薬事法の規定に基づき承認の可否を決定することとなる。
 なお、「野良化」した犬及び猫の避妊薬を混入したえさを与えることにより避妊の徹底を図ることは、極めて困難と考える。