第104回国会(常会)
答弁書第三九号
内閣参質一〇四第三九号 昭和六十一年五月二十日 内閣総理大臣 中曽根 康弘
参議院議員喜屋武眞榮君提出いわゆる「スパイ天国」論に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員喜屋武眞榮君提出いわゆる「スパイ天国」論に関する質問に対する答弁書 一について 我が国の現行法制では、外国のために国家秘密を探知、収集し、あるいはこれを外国に通報するようないわゆるスパイ行為一般を直接に取り締まる法規は存しない。したがつて、スパイ活動に関連して行われる行為が各種法令に違反し、それによつて処罰されるとしても、法定刑が軽いことなどからスパイ行為に対する法規制として必ずしも十分とは言い難い場合がある上、例えば、国家秘密の探知、収集に関しては、その手段、方法のいかんによつては処罰することができないなど現行法令で対処し得ない場合も存するところである。このような我が国の現状をとらえ、「現行法制上いわゆるスパイが自由に活動し得る余地がある」旨答弁したものである。 二について いわゆるスパイ活動をめぐる法規制については、表現の自由等の基本的人権を尊重する観点からも慎重に検討されるべきものであるが、いわゆるスパイによる国家秘密の探知、収集等の行為を処罰すること自体は、基本的人権の保障に何ら反するものではない。 三について 別紙のとおりである。 四について 我が国には、いわゆるスパイ行為一般を直接取り締まる法規がないことから、いわゆるスパイ事件が検挙されるのは、原則としてスパイ活動に関連して各種法令違反の事実を伴つた場合に限られることになる。
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