質問主意書

第104回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三号

内閣参質一〇四第二三号

  昭和六十一年三月二十八日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員小笠原貞子君提出北海道の酪農・畜産対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小笠原貞子君提出北海道の酪農・畜産対策に関する質問に対する答弁書

一について

(1)、(2)及び(3) 牛乳・乳製品及び牛肉等の輸入については、合理的な国内生産による供給を基本とし、関係国との友好関係に留意しつつ、国内の需給動向を踏まえて適切に行うことを基本としている。
(4) 農産物十二品目協議においては、米国との友好関係に留意しつつ、国内農業の健全な発展と調和のとれた形で行われるよう適切に対処していく考えである。

二について

(1) 昭和六十年度の加工原料乳の限度数量については、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法(昭和四十年法律第百十二号。以下「法」という。)に基づき、生乳の生産事情、飲用牛乳及び乳製品の需給事情その他の経済事情を総合的に考慮し、畜産振興審議会の答申を踏まえ、適正に決定したところである。
 なお、加工原料乳の限度数量の年度途中における改定については、

ア 異常な経済変動等の事態において、はじめて行うべきものであること
イ 加工原料乳の限度数量を現時点において増加することは、生産刺激的であり、乳製品の過剰に拍車をかけるおそれがあること
等の問題があり、困難である。

(2) 昭和六十一年度の加工原料乳の限度数量については、法に基づき、生乳の生産事情、飲用牛乳及び乳製品の需給事情その他の経済事情を総合的に考慮し、畜産振興審議会の答申を踏まえ、適正に決定してまいりたい。

三について

(1) 生乳の農家販売価格の低下については、生乳出荷量に対する乳製品向け処理量の割合の増加等によるものと考えられる。
(2) 昭和六十一年度の保証価格については、法に基づき、生乳の生産条件及び需給事情その他の経済事情を総合的に考慮し、生乳の再生産の確保を旨として、畜産振興審議会の答申を踏まえ、適正に決定してまいりたい。
(3) 酪農経営負債整理資金借受農家については、資金の貸付けと併せて農業協同組合等が個別重点的に指導を行い経営改善を図つてきているが、昭和六十年度までに経営の安定しない農家については、昭和六十一年度以降において償還困難と見込まれる借入金について一括して酪農経営負債整理資金に借り換える措置を講じ、経営の安定を図ることとしている。
 また、個別に農業経営の再建整備を図ろうとする農家については、実情に応じ国の制度資金である自作農維持資金の中の再建整備資金の融通をもつて対処していきたいと考えている。

四について

(1) 昭和六十年度におけるはつ酵乳等向け生乳取引の実績は、八万トン程度になるものと見込まれており、今後とも引き続き、はつ酵乳等向け生乳取引の推進に努めてまいりたい。
(2) 現在、保育所、老人福祉施設等における牛乳飲用促進のための助成を行つているところであり、これらの推進を通じて今後とも飲用牛乳の消費拡大に努めてまいりたい。
(3) 学校給食用牛乳供給事業については、昭和六十一年度予算において、厳しい財政事情の下で、補助の基本単価の引下げ等を行うこととしたところであるが、供給数量に基本単価の引下げによる影響が及ばないよう消費拡大の度合に応じて単価の調整を行うなどにより、牛乳の消費の安定的拡大を図つてまいりたい。

五について

(1)及び(2) 配合飼料の農家渡し価格については、飼料穀物の国際価格の低下、為替相場の円高等から、昭和五十九年七月以降五回にわたり引下げが行われたところであるが、今後とも原料価格の動向等を注視するとともに、必要に応じ関係業界を指導してまいりたい。
(3) 電力業界の差益問題への対応については、今後、為替レート及び原油価格の動向、決算の状況等事態の推移を見守る一方で、需要家の利益のために差益を用いるとの原則の下に、有識者や電気事業審議会等の意見も聴きながら、昭和六十年度決算等が明らかになる五月頃を目途に、慎重に具体的な方策について検討を進めてまいりたい。