質問主意書

第104回国会(常会)

質問主意書


質問第七号

沖縄における米軍基地の早期返還に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十一年一月三十日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   沖縄における米軍基地の早期返還に関する質問主意書

 政府は、米軍による基地使用については、わが国の存立上欠かせないものとして、引き続きこれを認める立場に立つている。
 このため、沖縄では、復帰による米軍基地の本土並み縮小が期待されたにもかかわらず、その実現を見ず、現在においても、国土の僅か〇・六パーセントに過ぎない沖縄県に、わが国における米軍専用基地の七十五パーセントが集中し、その面積は県土の十一パーセントにも達しており、地元沖縄では、基地はその運用による幾多の問題を惹起せしめているのみならず、県経済の発展を著しく阻害する要因ともなつている。
 沖縄県民が、人権を回復し、平和の下に経済的自立を達成するためには、米軍基地の縮小・返還は不可欠であり、この観点から以下質問する。

一 政府が策定した第二次沖縄振興開発計画には、「土地利用上大きな制約となつている米軍施設・区域をできるだけ早期に整理縮小し、産業の振興、生活環境の整備に資するよう跡地の有効利用を図るための施策を推進する。」ことがうたわれているが、嘉手納町の場合、実に町面積の八十五パーセントが基地であり、一万四〇〇〇余の町民の生活の場は、残る十五パーセントの僅か二平方キロメートル余の地域に過ぎず、著しく遅れている第一次産業をはじめとする各種産業の振興のためには、米軍基地の返還とその跡地利用は不可欠であるとして、町議会は数次にわたり決議を行つている。
 特に、嘉手納弾薬庫地区については、地元嘉手納町の産業振興のため使用したいとして、従来より返還を求めているものである。軍事基地に押しつめられ、地場産業の弱体な同町が、産業振興のため、同地区の返還を求め、跡地の有効利用をはかるのは、もつともなことである。
 一方、米側からみても、嘉手納弾薬庫地区には、現実には基地としては遊休化している部分も多いと思われることにかんがみ、返還の早期の実現が望まれるところである。
 そこで、日米安全保障協議委員会における、嘉手納弾薬庫地区返還に関するこれまでの米側との折衝の経緯及び返還の見通し、さらに、政府の方針等を明らかにされたい。

二 嘉手納飛行場の一部である「嘉手納マリーナ地域」については、米軍は、直接軍事目的ではなく、もつぱら福利厚生施設として用いていると承知しているが、そのとおりか。米軍による同地域の使用及び管理の実態を明らかにされたい。

三 政府においては、米軍の専用福利厚生施設は、整理・縮小し、その返還を求めるとの態度が採られていたと理解しているが、そうではないのか。
 また、「嘉手納マリーナ地域」の返還が、これまで実現しなかつたのはなぜか。
 海浜の専用化がなければ、米軍の福利厚生が不可能ということでもあるまい。かつての「占領軍専用」意識があるとすれば、厳しく糾弾されなければならない。政府の見解を伺いたい。

四 嘉手納マリーナ地域の返還に関する地元の要望について、政府はどう対処するのか。
 また、日米安全保障協議委員会における、これまでの米側との折衝の経緯、及び返還の見通し等を明らかにされたい。

五 嘉手納マリーナ地域は、地元に残された唯一の漁港適性地として、嘉手納町が第一次産業振興の立場から返還を望んでいるものである。
 同地域は、従来、地元民の憩いの場であり、産業の恩人・野国総管の霊地などがあること等から、地元の要望に応じて解放され、自由な通行が認められていたにもかかわらず、近年、フェンスの設置、出入口への警備員の配置等により、住民の利用に支障が生じている。仮に、返還が近々に望めないとするならば、従来並みの地元住民の利用、通行の確保が図られなければならないと考えるが、この点については、どうか。

  右質問する。