質問主意書

第103回国会(臨時会)

答弁書


第百三回国会答弁書第二一号

内閣参質一〇三第二一号

  昭和六十一年一月十四日

内閣総理大臣臨時代理             
国務大臣 江崎 真澄   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員秦豊君提出わが国周辺の最近の軍事情勢に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出わが国周辺の最近の軍事情勢に関する質問に対する答弁書

一について

 極東に配備されているバックファイアは、ここ数年急速に増強されており、千九百七十九年当時の約十機から現在では約八十五機に達している。空軍及び海軍のそれぞれの機数等については、今後の情報収集に支障を与えること等から、言及することは差し控えたい。

二について

 超音速戦略爆撃機ブラックジャックは、千九百八十年代末までには配備されるものとみられる。

三について

 ソ連は、極東地域において、一貫してSS-20を増強してきている。SS-20は現在、ソ連全土で四百四十一基配備されており、そのうち極東地域については約三分の一強に達していると承知している。

四について

 ソ連は千九百七十八年、国後、択捉両島に大隊規模以上あるいは旅団規模と推定される地上軍部隊を両配備した。その後、千九百七十九年には、色丹島にも新たに地上軍部隊が配備される等逐次増強され、千九百八十一年以降は師団規模にあるものと指定している。
 また、千九百八十三年八月から九月にかけて合計二十数機のMIG-23が択捉島天寧飛行場へ飛来したが、現在は約四十機に増強配備されている。
 このほか、国境警備隊の警備艇十数隻並びに輸送機及びヘリコプター合わせて数機が配備されている。

五について

 ソ連軍が使用しているとみられる飛行場としては、国後島には東沸飛行場及び古釜布飛行場が、択捉島には天寧飛行場及び糖路南飛行場があると承知している。

六から八までについて

 沿海地方、樺太、カムチャッカ州等の地域のソ連軍の基地等の所在地については、それぞれ次のとおりと承知しているが、詳細については、今後の情報収集に支障を与えること等から、言及することは差し控えたい。

(一) 海軍基地 ウラジオストク(ソ連太平洋艦隊司令部の所在地)のほか、ペトロパウロフスク、マガダン、ソビエツカヤガワニ、大泊等
(二) 軍管区司令部 ハバロフスク
(三) 飛行場 日本海沿岸、オホーツク海周辺及び中ソ国境を中心とする地域

九及び十について

 ソ連は、東南アジア地域におけるプレゼンスの強化を図つてきており、現在カムラン湾にベア六ないし八機、バジャー十六機及びMIG-23十四機を配備するとともに、カムラン湾やダナンの港湾を利用して南シナ海に二十数隻程度の艦艇のプレゼンスを維持している。ソ連がかように東南アジア地域におけるプレゼンスを維持・強化していることは、この方面における海上交通の安全に対して影響力を行使し得る能力を向上させるものとして懸念を有している。

十一及び十二について

(一) 極東軍管区には二十五個師団、ザバイカル軍管区には十一個師団、シベリア軍管区及びモンゴルにはそれぞれ五個師団が配備されている。
(二) 極東ソ連軍の航空兵力については、作戦機約二千二百機が配備されているが、バックファイア爆撃機等高性能の新鋭機への更新が顕著であり、その近代化が進められている。
(三) 極東地域に所在するソ連地上軍部隊の編成及び充足等の詳細については、今後の情報収集に支障を与えること等から、言及することは差し控えたい。

十三について

 我が国に対する侵攻能力等について、特定の国との関係において述べることは差し控えたいが、いずれにせよ、「防衛計画の大綱」にいう限定的かつ小規模な侵略の具体的内容は、諸外国の軍備の動向、技術的水準の動向等により、変動する面があると考えている。

十四について

 ソ朝関係は、一昨年五月の金日成主席の訪ソを契機に関係強化が進展してきている模様であるが、かかる動きは双方の政治的・軍事的思惑がそれなりに一致した結果ではないかと思われる。いずれにせよ、引き続き、今後の動向に注目していきたい。