質問主意書

第103回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質一〇三第二号

  昭和六十年十一月十五日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員秦豊君提出中曽根政治の根本的理念に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出中曽根政治の根本的理念に関する質問に対する答弁書

一から五まで及び七について

 中曽根内閣総理大臣が「日本のアイデンティティを確立する」などと述べているのは、国際化の急速な進展の中で、日本文化の全体像を歴史的、かつ、国際的な視野の中で捉えつつ、その特質、外国文化との差異等を明らかにすることにより、いわば日本自身を知るための努力を重ね、併せてその研究成果を海外に提供し、日本文化の国際的理解を深める必要があり、また、このことは、国際国家を目指す我が国にとつて極めて重要な意義を持つ、との考え方に基づくものである。

六について

 我が国は、今後とも、過去においてアジアの国々を中心とする多数の人々に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立つて、平和国家としての道を歩むべきものと考えている。

八、九及び十二について

 中曽根内閣総理大臣は、民主主義はもとより、平和主義、基本的人権の尊重、国際協調主義など、戦後今日の日本の繁栄をもたらす礎となつた諸原則を高く評価し、今後もこれを堅持する必要があると考えているところである。
 また、中曽根内閣総理大臣は、民主主義の健全な発展を図るためには、国民の一人一人が、国家という共同社会を構成する一員としての自覚を持ち、また、社会的責任を適切に果たすことが重要と考えているところである。

十について

 中曽根内閣総理大臣の述べている「戦後政治の総決算」とは、民主主義等の前述の諸原則をあくまで堅持しつつ、従来の基本的な制度や仕組み等について、タブーを設けることなく、新しい目で見直し、良いものは更に伸ばし、戦後から今日までに生じたひずみがあればこれを是正することによつて、二十一世紀という新しい時代を迎えるための準備を進めるという意味であり、これを通じ、たくましい文化と福祉の国、平和を志向し、積極的に国際的役割を分担する国際国家日本をつくつていこうとする考え方を指すものである。

十一について

 中曽根内閣総理大臣は、ドゴール元大統領を優れた政治家の一人として尊敬しているものであるが、中曽根内閣総理大臣自身はあくまでも日本の政治家であり、日本の置かれた国際環境の中で、世界の平和と繁栄に積極的に貢献するため努力しているところである。