質問主意書

第103回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六号

土地区画整理事業施行地区の市街化促進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年十二月二日

二宮 文造   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   土地区画整理事業施行地区の市街化促進に関する質問主意書

 政府は、本年十月十五日、「内需拡大に関する対策」を決定し、民間住宅の建設促進を対策の目玉に据え、住宅金融公庫の特別割増貸付制度の実施、貸付枠の追加等の措置を講ずることとしているが、民間住宅の建設促進のためには、宅地供給の円滑化が不可欠であり、各種の規制緩和とともに、土地区画整理事業の一層の推進と、その施行地区の市街化促進策の拡充が必要である。
 よつて、次の諸点について政府の見解を承りたい。

一 土地区画整理事業の施行済地区が、昭和五十八年度末現在で六千百二十九地区、二十一万六千四百七十七ヘクタールに及んでいるが、未利用のまま放置されている宅地の状況について、どう把握しているか。
 また、市街化促進のため、これまでどのような施策を講じてきたか。

二 土地区画整理事業を施行中の地区が、昭和五十八年度末現在で千五百七十地区、八万千四十五ヘクタールにのぼつているが、最近の事業施行期間は、おおむねどの程度となつているか。

三 土地区画整理事業の施行に要する費用は巨額であり、工事の進捗に合わせて資金を生み出す必要から、換地処分の公告前に保留地予定地を売却するのが一般的である。しかし、保留地予定地については換地処分の公告があるまでは登記ができず、第三者への対抗力に欠けるため、譲受人がこれを担保に供するのに不都合であるという問題が生じている。また、これが土地区画整理事業施行地区の市街化を遅らせる要因ともなつているが、現在、この種の土地はどのくらいあるのか。

四 保留地予定地に係る登記問題の解決は、その譲受人、それを担保として取りたいとする金融機関、さらに、その売却を容易にしたいとする施行者の一致した願いであり、市街化促進策の一環として、また、民間活力の活用という観点からも解決を急がなければならない課題である。
 そこで、保留地予定地の売却について、売買契約締結後に、その面積、売買価格に変更が加えられたことがないという実情を踏まえ、仮換地の段階で登記が可能となるよう関係法規を改正すべきではないかと考えるがどうか。
 また、直ちに法律による制度化が困難であるとすれば、その繋ぎの措置として、保留地予定地の譲受人の円滑な資金の調達に資するために必要な債務保証を行う保証体制を、早急に確立すべきではないかと考えるがどうか。

五 住宅・都市整備公団が大規模な宅地開発のため、土地区画整理事業を実施し、宅地等を分譲する場合、募集要項等において、換地処分の公告日の翌日に所有権の移転登記を行う旨を明記し、換地処分の予定日を明らかにしているが、これまでにその予定日を変更した事例が多々あると聞いているがどうか。また、このような変更によつて、不利益を強いられることになる譲受人に対し、どのような配慮を行つてきているか。

六 住宅・都市整備公団の施行による「大和都市計画事業(奈良国際文化観光都市建設事業)平城土地区画整理事業」における宅地等の分譲では、当初の換地処分公告の予定日は昭和五十一年三月三十一日となつていたが、その後、施行上の都合によつて、昭和五十七年三月三十一日、昭和五十九年三月三十一日、昭和六十二年三月三十一日と三回も変更が繰り返され、十年以上もの長きに亘り譲受人に不利益を強いている。これ以上の変更は許されるべきではないと思うがどうか。

  右質問する。