第103回国会(臨時会)
質問第一三号
米ソ首脳会談と今後のわが国の外交・防衛政策の展開に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和六十年十一月二十八日 秦 豊
米ソ首脳会談と今後のわが国の外交・防衛政策の展開に関する質問主意書 ジュネーブの米ソ首脳会談は、対決から対話への序章に過ぎないとしても、わが国としては、今後の外交、防衛政策の展開に当たつては、一層の創造性と主体性を堅持する必要があると考えるが、それらに関連して質問する。 一 ジュネーブで開始された「米ソ対話」の今後は、必ずしも甘い観測を許さないとしても、米ソの間にあつて、わが国は、今こそ平和・軍縮外交の新たな創造的展開をめざすべきであると考える。
二 米・ソ間の新たな緊張緩和がゆるやかに進展すれば、様々なレベルからする米国の対日防衛要請は弱まると考えるか。 三 それとも、米国の国防費は漸減されても、対日防衛分担の要請は、逆に強まると考えるか。 四 中期防衛力整備計画は、米・ソ間の動向等にはかかわりなく、当初の計画通りに実現をめざす考えか。 五 対ソ外交の新たな展開は、わが国にとつての重要な課題であるが、まず原則的な方針として、今後の日ソ関係の打開に当たつては、広範な経済・技術協力、文化交流等を包括する中で、領土問題の漸進的打開の方向を探ろうとする考えか。
六 昭和三十一年十月、モスクワで署名された「日ソ共同宣言」の第九項に関連して確認しておきたい。第九項は、単に日ソ平和条約締結のための継続交渉、並びに平和条約締結後の歯舞群島及び色丹島の日本への引渡しについて触れているだけだが、松本・グロムイコ往復書簡では、領土問題の継続審議が日ソ交渉の前提条件とされているが、そのような理解で良いのか。
七 ソ連政府は、松本・グロムイコ書簡については、どのように理解しているのか。 八 従来一貫して、「日ソ間に領土問題は存在しない。」と強硬に主張しているソ連側に対して、今後強靱な交渉を展開しようとする場合、政府はどのような論理構成で臨む考えか。 九 今回の米ソ首脳会談では、朝鮮問題については言及されなかつたのか。 十 米ソ首脳会談と並行して行われたシュルツ・シュワルナゼ会談では、朝鮮問題はどのように扱われたのか。 十一 米ソ首脳会談後行われた日本政府への様々な説明の中では、朝鮮問題についてどの程度の内容が明らかにされたのか。 十二 米ソ首脳会談の結果を待つていたかのように、東独のホーネッカー議長の西独訪問が発表されたが、政府は、南北朝鮮首脳会談の可能性やそのための前提条件等については、どのように考えているか。 十三 米ソ首脳会談で、最も鋭く対立したのはSDI問題とされているが、政府は、米国政府が要請しているSDIへの研究参加については、結局どのようにする考えなのか。また、政府としての正式な意向はいつ頃、どのようなルートと方法で米国側に伝達するのか。 十四 米ソ首脳会談や米ソ外相会談では、アジア地域の中距離核ミサイルの削減問題は、どの程度話し合われたのか。また、欧州配備の中距離核ミサイルの問題との関連については、どのように承知しているか。 右質問する。 |