質問主意書

第103回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇号

新マル優申告書の予約活動に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年十一月二十日

近藤 忠孝   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   新マル優申告書の予約活動に関する質問主意書

 来年一月から始まる新マル優(少額貯蓄非課税制度)申告書の予約活動について、大蔵省は本年十一月十四日、銀行、証券などの金融業界に、「新申告書への切替えに際し、現行のマル優枠をふやさないことを条件に、十二月一日から予約活動をおこなうことを認める」指示をおこなつた。
 しかし、すでに三菱、三井銀行など各銀行は「六十年中にマル優枠を当行に集中して下されば、手続きが一回ですみ、マル優の管理にも好都合です。」などと記載したリーフレットを顧客に配布するなど、新マル優制度を口実にしたマル優枠争奪の過当競争を展開している。十二月一日以降は、各金融機関のボーナス預金獲得運動とも重なつて、国民に多大な迷惑が及ぶことが憂慮される。
 ついては、その防止策等について、以下のとおり質問する。

一 各金融機関は、本年十二月一日をスタートにして、いつせいに顧客から新マル優申告書(来年一月以降に国税庁に提出すべきもの)を預かる運動を計画し、具体的には、女子行員を含む全従業員が業務終了後「ローラー作戦」と称する外訪活動を実施する準備をすすめている。全金融機関がそれぞれこうした運動を展開するのであるから、国民はその応待のために夕食も落ちついてとれないような状況になることは必至である。
 このことについて政府は、各金融機関に対し、新マル優申告書の予約集めのための、(1)就業時間後の全従業員によるいつせい外訪活動を自粛する、(2)休日の外訪活動を自粛するよう指導すべきであると考えるが、見解を承りたい。

二 各金融機関は年内に集めた新マル優申告書について、年明け後にもう一度顧客に「変更がないか」を確認した上で国税庁に提出し、国税庁は全金融機関から送られてきた申告書を同一人物ごとに名寄せして不正利用をチェックすることになるが、これは膨大な事務量となり、果たして厳正なチェックができるか疑問である。
 名寄せ事務を確実に実施するためには、現在すでにマル優枠を設定している預金者については、新申告書をいつせいに提出してもらうのではなく、今後マル優預金を追加する際、およびマル優預金の満期書換えをおこなう際に、提出してもらうことが合理的である。来年一月以降に大量の事務が集中することが明白であるのに、わざわざ年内に申告書集めの予約活動の実施を認める真意は何か、政府の見解を承りたい。

三 十二月一日からの予約活動については「現行のマル優枠をふやさない」ことを条件にするとのことであるが、前述のとおり、各銀行は「六十年中にマル優を当行に集中して下されば……」といつたリーフレットを顧客に配布している実態がある。各金融機関に、年内の予約活動でマル優枠をふやす勧誘をおこなわせないために、政府はあらためて全金融機関に対して厳しい監督・指導をおこなうと同時に、無用の誤解と混乱を招かないよう、国民に対して新制度の趣旨徹底をはかるなどの措置を早急に講じるべきであると考えるがどうか。

  右質問する。