質問主意書

第103回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

中期防衛力整備計画に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年十月十四日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   中期防衛力整備計画に関する質問主意書

 十八兆四千億円に達する中期防衛力整備計画は、大綱水準の達成をめざすものとされているが、それらに関連して質問する。

一 政府は、現在、基盤的防衛力構想については、どの程度肯定的なのか。

二 政府は、脱脅威論を踏まえた防衛計画の大綱については、与党等からのいかなる働きかけがあろうとも、今後とも守り抜く考えか。それとも、中期防衛力整備計画を見直す三年後には、大綱の理念や戦力水準の改訂は避け難いとの考えか。

三 シーレーン防衛にからむ洋上防空の主な対象は、ソ連の戦略爆撃機バックファイアではないのか。

四 バックファイアの攻撃目標は、日本の貨物船であるよりは、米機動艦隊等の水上艦艇ではないのか。

五 洋上防空は、日本の海上交通路の防衛というよりは、むしろ米海軍への直接、間接の支援行動の側面が強いのではないか。

六 いわゆる海・空重視は、今後のわが国の防衛力整備に関する基本的政策として、既に正式に決定された最高方針なのか。

七 それはどのような場で、どのようなメンバーによつて討議され、かつ決定されたのか。

八 中期防衛力整備計画を閣議決定するまでの経緯の中で、計画の前提となる国際情勢、特にソ連による軍事的脅威の実態と見通し、日米防衛協力と役割分担、軍事費の増大に対する歯止めの問題、専守防衛の理念と中期防衛力整備計画の関連等にかかわる論議は、どの程度、真剣に討議されたのか。

九 中期防衛力整備計画によると、戦車の配備数など、明らかに北方重視の姿勢がうかがわれるが、それはどのような認識と判断に基づくものか。

十 中期防衛力整備計画によると、対潜哨戒機P3Cは新たに五十機を装備することになつているが、これを現有のものと合わせると、いわゆる百機体制に近づく。この体制が、真にわが国防衛のための必要最低限と言い得るのか。何故、百機のP3Cが必要なのか。

十一 百機のP3Cは、わが国防衛のための必須の機数と言うよりは、対ソ世界戦略を担う米海軍を補完するためのものではないのか。

十二 洋上防空に関連して、硫黄島や沖縄本島にF-15を恒常的に配備することは今後ともあり得ないのか。

十三 シーレーン防衛に関連した用語として、「周辺海域数百カイリ」と言う場合には、日本海や朝鮮海域は含まれないのか。

  右質問する。