質問主意書

第102回国会(常会)

答弁書


答弁書第五九号

内閣参質一〇二第五九号

  昭和六十年七月十二日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員小笠原貞子君提出千歳川放水路問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小笠原貞子君提出千歳川放水路問題に関する質問に対する答弁書

一について

(1) 千歳川放水路については、その決定に際し、千歳川の川幅を広げ築堤する方法、石狩川本川の改修等を行いその水位を下げることにより千歳川の水位を下げる方法、千歳川自体で水位を下げる方法等について実効性、経済性等を総合的に比較検討し、石狩川水系工事実施基本計画において千歳川放水路を決定したものである。
(2) 千歳川放水路のルートの選定については、現在、洪水処理機能、経済性、地下水等の自然環境及び農業等の地域社会に与える影響等に関して調査、検討を行つているところであり、その結果を総合的に判断して結論を出すこととしている。
 なお、この計画に係る調査報告書については、検討過程の内部資料であり、公表する考えはない。

二について

(1) 千歳川放水路の建設による地下水への影響、美々川の流量への影響及び必要な対策については、現在、調査、検討中である。
(2) 千歳川放水路の建設による地下水への影響、不同沈下の可能性及び必要な対策については、現在、調査、検討中である。
(3) 千歳川放水路の建設による太平洋側からの霧の流入の有無及び農作物に対する影響については、現在、現地観測等の調査を実施しているところである。
(4) 平常時に千歳川放水路を流下する水量、必要な維持流量及びその確保方策並びに潮止堰の必要性については、現在、調査、検討中である。

三について

(1) 現在、ルート決定のために現地調査を実施しているところであり、必要となる用地面積については、今後の調査の結果によることとなる。
(2) 千歳市ネシコシ地区における国営総合かんがい排水事業は、地域農業の生産性の向上と経営規模の拡大を目的として、排水施設の整備及び未利用地の農地造成を行おうとするものであり、現在、全体実施設計を行つているところである。
(3) 千歳川放水路の建設及び道路事業の実施に当たつては、実施の時期、方法等について十分調整を図りながら、適正な事業の実施に努めてまいりたい。
(4) 千歳川放水路の建設に伴い必要となる生活用道路の架橋については、地域に係る諸計画と整合を図りつつ、必要な機能を確保するよう、関係地方公共団体等と調整してまいりたい。
 千歳川放水路の建設に伴う既存の道路の従前の機能を確保するために必要な橋梁の建設については、原則として、放水路建設に係る事業費から支出を行うこととなる。
(5) 千歳川放水路の建設に必要な農地の取得又は使用に際しては、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」に基づき、適正な補償を行うこととしている。
(6) 掘削土の処分地及び処分方法は、現在のところ未定であるが、可能な限り、掘削土の有効利用を図る方針で検討を進めてまいりたい。

四について

(1) 千歳川流域の低地帯での支川及び内水の排除条件は、石狩川との合流点付近に水門を設け、石狩川本川の背水影響を遮断し、千歳川放水路を建設することによつて、千歳川の計画高水位を大幅に低下させるとともに、周辺地盤を超える高い洪水位の継続時間を大幅に短縮させることにより、飛躍的に改善されることとなるものである。
 また、御指摘の計画縦断図は、検討段階の資料である。
(2) 千歳川放水路の建設に要する期間及び費用については、現在、調査中である。
(3) 千歳川流域は、低平地が多く、石狩川の洪水の影響も強く受ける等、洪水被害を受けやすい特徴を有しており、また、流域の開発も進行しつつあることから、抜本的な洪水対策として、千歳川放水路の建設を行うこととしているものであるが、石狩川本川についても流域全体の治水安全度のバランスを図りつつ、継続して必要な対策を講じてまいりたい。