質問主意書

第102回国会(常会)

答弁書


答弁書第五一号

内閣参質一〇二第五一号

  昭和六十年八月七日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員田代富士男君提出「予算の空白」と参議院の審議権に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員田代富士男君提出「予算の空白」と参議院の審議権に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 昭和五十七年四月三日の参議院予算委員長見解については、政府として、これを十分尊重し、いわゆる予算の空白によつて国政の円滑な運営に支障を生ずることのないよう、国会の予算審議を尊重しつつ、適切に配意するよう最大限の努力を行つてきたところである。
 各般の事情から、昭和五十八年度及び昭和六十年度においては、遺憾ながら予算の空白が生じたところであるが、昭和五十九年度においては本予算を審議する国会の状況等を勘案して、暫定予算を作成し、これを、国会に提出したところである。
 今後とも、政府としては、昭和六十年四月五日の参議院本会議における予算委員長報告において「予算の空白問題について、従来からの論議や本年度予算の経緯にかんがみ、かかる事態を生ぜしめないよう、政府において暫定予算の提出等国民に迷惑をかけないための諸般の対策に万全を期することを改めて強く要請」された趣旨を尊重し、適切な対応に努めてまいりたい。

四について

 昭和五十八年度及び昭和六十年度のいわゆる予算の空白期間中において支払等を必要とする経費については、それぞれ立替払、支払の延期等によつて対処しているが、科目別の対応措置及び予算成立後の事後処理については、次のとおりである。

(注) 予算成立年月日
昭和五十八年度 四月四日
昭和六十年度  四月五日

(1) 被収容者作業賞与金等

 監獄法等に基づき支給される被収容者作業賞与金等については、第三者(昭和五十八年度にあつては矯正施設ごとの職員会、昭和六十年度にあつては財団法人矯正協会)による立替えで対処した。

(注) 被収容者作業賞与金等の立替払の状況
年  度      立替払された額(千円)   歳出予算で補てん処理した時期
昭和五十八          二、六九七    四月八日から十三日まで
昭和六十          一〇、四四六    四月九日から十六日まで

(2) 供託金利子

 供託法に基づく供託金の利子の支払については、予算決算及び会計令により供託金(歳入歳出外現金)の繰替使用で対処した。

(注) 供託金利子の繰替使用の状況
年  度      繰替使用した額(千円)   歳出予算で補てん処理した時期
昭和五十八          九、三三七    五月十三日から七月二十五日まで
昭和六十          一一、四九九    五月十七日から七月二十七日まで

(3) 郵便貯金の支払利子、簡易生命保険等の還付金等

 郵便貯金法に基づく支払利子、定額貯金割増金及び簡易生命保険法に基づく還付金等の支払については、予算決算及び会計令による郵政官署における現金の繰替使用で対処した。

(注) 郵便貯金特別会計、簡易生命保険及郵便年金特別会計に係る繰替使用の状況

(イ)郵便貯金特別会計

年  度      繰替使用した額(千円)   歳出予算で補てん処理した時期
昭和五十八      一、〇二五、九三八    五月三十一日
昭和六十       一、六二〇、四三三    〃

(ロ) 簡易生命保険及郵便年金特別会計

年  度      繰替使用した額(千円)   歳出予算で補てん処理した時期
昭和五十八     一八、八六三、九七六    四月三十日
昭和六十      四五、七四九、五三三    〃

(4)失業給付金等

 雇用保険法等に基づき四週間に一回ごと指定された日に支給されることとなつており、前年度歳出予算の残を使用して支払い、予算成立後に年度更正、科目更正を行つて対処した。

(注) 労働保険特別会計雇用勘定における失業給付金の年度別の対応措置状況
年  度  空白期間中に支払つた額(千円)  年度更正の処理を行つた時期
昭和五十八      九、一三九、〇七九   四月五日から十五日まで
昭和六十      一七、一二一、二一八   四月六日から十五日まで

(5) 生活保護費

 受給者への支払及び支払日の決定は、各都道府県等が行つており、毎月五日が大半を占めているが、その国庫負担分についての第一回目の交付決定は、昭和五十八年度にあつては四月四日に、昭和六十年度にあつては五月十八日に行つた。

(6) 証人及び参考人等の旅費

 刑事訴訟費用等に関する法律等に基づいて出頭する証人等の旅費については、予算成立後精算払した。

(7) 国選弁護人報酬

 刑事訴訟費用等に関する法律に基づく弁護人に支給する費用は、予算成立後に後払した。

(8)資金運用部預託金利子

 資金運用部資金法に基づく利子の支払については、予算成立後に後払した。

(9) 立法事務費

 国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する規程により毎月一日に交付されることになつているが、両院議長決裁により、予算成立の日の翌日まで交付期日を延期した。

(10) 国会職員の給与費

 国会職員の給与等に関する規程により毎月五日に支給されることになつているが、昭和六十年度にあつては、両院の事務総長及び国立国会図書館長の決裁により、予算成立の日の翌日まで支給日を延期した。

(11) 参議院速記生徒手当

 国会職員の給料等の支給期日の延期の取扱いに準じて対処した。

(12) 食糧費(刑務所等被収容者、国立更生援護機関入所者、国立病院患者等)

 前年度からの持越食糧により対処した。

(13) 医薬品等購入費(国立学校、国立病院等)

 前年度からの持越医薬品等により対処した。

(14) 年金給付のうち脱退手当金、死亡一時金等

 厚生年金保険法、国民年金法等に基づき支払われるいわゆる随時払分については、予算の空白期間中に裁定されたものがない。

(15) 司法修習生手当等

 司法修習生の給与に関する規則に基づき司法修習生としての修習を終えた際に支給される司法修習生手当等については、昭和六十年度にあつては、予算成立後に後払した。
 なお、恩給等(国会議員互助年金、文官等恩給費、遺族等年金等)については、年金恩給支給規則等により払渡開始日は四月六日となつており、また、地方交付税交付金(四月分の普通交付税)については、地方交付税法の規定により四月中に交付することとなつており、それぞれ予算の空白期間中の支出はなかつた。